広島のJ1連覇に貢献したFWが古巣の現状に「なんか、寂しい。僕がいた時は…」

2017年08月14日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「特別な気持ちはある」。

石原は広島時代にJ1連覇に貢献。仙台の選手として対戦したが、当時のサッカーから変わってしまったと心境を明かした。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ22節]仙台1-0広島/8月13日/ユアスタ
 
 この日、仙台の1トップを務めた石原直樹は相手DFに苦戦していた。石原にとって、広島は2012年から14年まで所属した古巣であり、対峙した相手CBの千葉和彦と水本裕貴は、その時代の戦友。苦戦の理由として、「やりにくさがあった」と試合後に話した。
 
「相手のCBは長く一緒にやっていた選手なので、裏を狙っていたのが読まれていたし、どういうプレーをするのかも読まれていたと思う。そのなかでも、前線でタメを作ることはやらなければいけないので意識をしていた」
 
 かつての仲間たちと激しいバトルを繰り広げ、結果的に仙台が8試合ぶりの勝利を手にしたわけだが、背番号11は古巣との一戦に特別な感情があったと明かした。
 
「違うチームとやるよりかは、特別な気持ちはある。もちろん在籍していたので、知っている選手、スタッフもたくさんいるから、複雑な気持ちだった。でも、いまは仙台でやっているので、チームの勝利のためにプレーして、そのなかで勝点3を得ることができて良かった」
 
 まず石原は仙台の久しぶりの勝利を喜んだ。しかし、古巣が降格圏に沈むほど低迷し、5年半に渡って指揮を執った森保一前監督が辞任。ヤン・ヨンソン現監督になってサッカーのスタイルも変わっていた。激動のシーズンを送る広島について、石原はうつむきながら言葉を続けた。
 
「僕がいたときとやっているサッカーが違う。昔いたときは3-4-3がスタイルだった。監督が代わってディフェンスラインが3枚じゃなくて、4枚でやっている。やり続けたスタイルから、違うサッカーになってしまった。なんか、寂しい感じはしました」
 
 広島は今の仙台が採用している布陣と同じ3-4-2-1のもと、ポゼッションサッカーで12年、13年にJ1を連覇。その時のスタイルを長い間継続していたが、それが今季、リーグでは19節からヤン・ヨンソン監督が指揮を執り、4-2-3-1のシステムでロングボールを使う縦に速い攻撃に変化した。
 
 石原は広島時代、シャドーで活躍し、在籍3年間で27ゴールをするなどJ1連覇に貢献。だが今日の広島には、所属していた当時の面影などなかった。その単調な攻撃を見るにつけて、寂しさを感じたのだろう。
 
 結局、広島は攻撃に打開策を見いだせないまま無得点で仙台に敗れた。勝点15の17位となり、残留圏までは5ポイント差。監督が代わり新たに選手を補強した今、広島は石原が所属していた時とは異なるスタイルで、J1残留という結果を掴み取るべく苦闘を続けている。
 
取材・文:志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事