【横浜】後半戦は台風の目になる!? ここ10試合負けなしの強さのワケは?

2017年08月06日 藤井雅彦

「前半無失点」がチームの合言葉として浸透。

新潟戦に勝利した横浜は勝点37で4位に浮上した。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 横浜が躍動感のある戦いぶりで勝点を積み上げている。最近10試合は7勝3分と負けなし。その中には5連勝や5つの完封といったポジティブな数字が多く記録されている。20節・新潟戦を2-0で勝利して勝点は37となり、順位を4位に押し上げた。
 
 スコアだけを切り取ると完勝に見える新潟戦だが、簡単な試合ではなかった。この一戦を迎えるにあたり、エリク・モンバエルツ監督は天野純をトップ下からボランチに下げ、前田直輝を2列目中央で起用。戦前は「いつも以上に焦点を当てるべきことは、自分たちがボールを持っている時のプレー」と話し、ポゼッションで優位に立てる皮算用だった。
 
 ただ蓋を開けてみると、新潟の出足の鋭いプレスにボール回しが滞ってしまう。想定していた新潟の出方だったが、「前半はバタバタして危ないシーンが何度かあった」(山中)。際どいシュートを打たれるなど、スコアレスで前半を終えられて御の字と言える内容だった。
 
 しかし、チームには『前半無失点』が合言葉として浸透している。前述した5連勝の最中は全試合で前半を無失点でしのぎ、後半にゴールを奪って勝利した。そして今の横浜の強さは、前半の課題を後半に修正できる点にある。
 
 後半開始から齋藤とマルティノスが2列目左右のポジションを入れ替えた。背番号10にとって攻撃面で力を発揮しやすい左サイドに戻ったことになるが、効果は攻撃面だけにあらず。齋藤は「前半はマル(マルティノス)の背後を使われていたけど、自分が左サイドに移ったことで守備面での問題を改善できたと思う」と自発的に位置を入れ替えた理由を明かした。
 
 リードを奪った後半途中からは前田を最前線に置いた"ゼロトップ"に変更。新潟戦前の練習でパターンのひとつとして試していたが、実戦で使ったことには選手自身も驚きを隠せない。「まさか本当にやるとは。裏に抜けることだけを考えた」と前田は苦笑いを浮かべたが、ビハインドの相手が前へ出てくる展開でまずまずの効果を発揮した。
 
 さらに指揮官は2-0で迎えた終盤、本来は右SBの松原を1列前の右サイドハーフで起用する。こちらは練習で一度も試していないオプションだったが、守備に重心を置くことは明白。右SB金井は「自分が前へ行った時は(松原)健が下がってくれて、自分としてはやりやすかった」と前向きに受け止めていた。
 
 20代前半の選手が先発の過半数を占める横浜は、今が最も伸び盛りのタイミングかもしれない。勝ちパターンが確立され、さらに上積みを実現するために選手自身が考えてアクションを起こす。『勝ちながら強くなる』を地で行くトリコロールが、リーグ後半戦の台風の目になるかもしれない。
 
取材・文:藤井雅彦(ジャーナリスト)
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