かつて「ネイマール以上」と評された天才ガンソ、セビージャで生き残る道は?

2017年07月20日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

C大阪の8人がまるで動けないスルーパスを出す。

C大阪戦では超絶的なスルーパスを連発したガンソ。そのセンスはやはり規格外だ。(C)Getty Images

[2017 Jリーグプレシーズンマッチ StubHub ワールドマッチ]C大阪1-3セビージャ/7月17日/ヤンマー
 
 C大阪に力の差を見せ付けたセビージャの中で、日本のサッカーファンをもっとも魅了したのは誰か。中盤で圧倒的な存在感を見せたMFステベン・エヌゾンジや2ゴールを挙げたFWウィサム・ベン・ヤーデル、一瞬の隙を見逃さず3点目を奪ったFWルイス・ムリエルもたしかに素晴らしかったが、「魅せる」という意味では間違いなくMFガンソだろう。
 
 後半から投入されたブラジル人司令塔は、トップ下のような位置に入る。すると48分、さっそく観衆を沸かす。敵陣中央あたりでボールを持ったレフティーは、左足のアウトサイドでスルーパス。C大阪は8人が引いた形で守備陣形を組んでいたが、まるで時間が止まったかのように誰もが動けず、完全に最終ラインの裏を取られた。
 
 パブロ・サラビアがGKとの1対1を失敗してゴールには繋がらなかったが、ガンソはパス一本で決定機を創出したのだ。
 
 そして53分には、再び規格外のプレーを繰り出す。自陣のセンターサークル手前でボールを持つと、縦にロブ気味のスルーパス。左サイドから中央に動き出していたホアキン・コレアが抜け出し、そのままGKと交錯してPK奪取に繋がった。
 
 その他にも正確なパスや独特のキープなどを随所で見せ、抜群の攻撃センスを披露したガンソ。試合後には「セレッソは良いチームだったけど、僕らはポゼッションを支配できた。だから3点取れた」と語った27歳の天才MFは、間違いなくこの日もっとも"印象に残る選手"だった。7月22日の鹿島戦でも括目に値する。
 
 2008年にサントスでプロデビューしたガンソは、2010年にはブラジル代表にもデビュー。「セレソンの新たな10番」として注目を浴び、当時はクラブと代表で同僚だった親友ネイマールよりも高い評価を得ていたほどだった。2011年にはコパ・リベルタドーレス優勝に貢献し、クラブワールドカップで来日を果たしている。
 
 しかし、フィジカルと戦術が重視されるモダンフットボールに逆行するかのような奔放かつゆったりとしたプレースタイル、そして度重なる怪我もあって、サントスとその後に加入したサンパウロでキャリアが停滞。ミラン、マンチェスター・U、インテルなどに引き抜かれる話はすべてご破算となり、バルセロナに移籍してスター街道を駆け上がったネイマールとは評価が一気に逆転した。
 

次ページこのまま欧州トップシーンから消えてしまうのはあまりにも…。

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