【鹿島】「仲間が僕を…」5戦6発のP・ジュニオールがノッている理由

2017年07月08日 羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

ゴールパフォーマンスについても回顧。

鈴木優磨の正面で「クリロナポーズ」をやってみせるP・ジュニオール。 (C) SOCCER DIGEST

[J1リーグ18節]FC東京2-2 鹿島/2017年7月8日/味の素スタジアム
 
 FC東京の面々が一瞬足を止めた、その隙をペドロ・ジュニオールは逃さなかった――。直近のリーグ戦5試合で6ゴール目と絶好調のブラジリアンは、中2日とタイトな日程のなかで迎えた試合でも疲れ知らず。存在感を放ってみせた。
 
 立ち上がりこそ相手の出足の素早い守備に苦戦したものの、それでも個人技で果敢に仕掛け続けると、13分に右サイドを打開してチャンスを演出。これが呼び水となってチームの攻撃が活性化し、16分にも右サイドから得点機を作る。このチャンスで西大伍のクロスに合わせた金崎夢生のヘッドはGKに弾かれたが、最後は流れてきたルーズボールをP・ジュニオールが押し込んだ。
 
 後半開始早々の47分にチームは橋本拳人にこの日2点目を決められて、逆転されてしまう。しかし、76分に再びP・ジュニオールは相手DF陣が足を止めたタイミングを逃さずにペナルティエリア内左から、「良い感触があった」という見事な弧を描くシュートを沈めてみせた。
 
 2点目を決めた直後に披露したクリスチアーノ・ロナウドポーズを含めて、まさに千両役者というべき活躍ぶり。本人は、「チームが僕の動きを理解してくれるようになった」と好調の要因を語る。
 
「僕自身もチームの戦術や仲間の特徴を理解できてきた。だから、僕個人が急に良くなったというわけではない。チームとしての機能性が上がっている証拠。結果として僕が点を取っているけど、個人ではなく共通理解が深まっていることが大きいね」
 
 個人ではなくチーム力の向上を強調したP・ジュニオールは、前節の交代時に怒りを露わにしていたシーンを触れられ、「あれはピッチで貢献できなかったということへの悔しさ。だから監督と僕の仲に問題があるわけじゃない。交代した選手への敬意を欠いた」と反省を口にしてもいる。
 
 その大岩剛監督が、今節後の記者会見で「もっとリスクを冒して攻めてもいい」と、堅守速攻重視の"鹿島スタイル"からの変化を口にしたことを聞かれると、「攻撃的な監督という印象があるし、特に問題はない。僕たちは小さいクラブじゃないから優勝を目指している。そのなかで臨機応変にやれたらいいね」と落ち着いた口ぶりで語った。
 
 また、「やりたくてやった」というゴールセレブレーションについて記者から「(鈴木)優磨選手も同じポーズをしているが?」という質問が飛ぶと、「あれはみんな優磨のものだと思っているけど、僕がリーグ戦で最初にやっていた。だから真似をしているのはあっち」とハニカミながら答えた。

 終始落ち着いた表情で、質問に答えるその振る舞いから好調さを伺わせたP・ジュニオール。『夏場に弱い鹿島』のイメージを吹き飛ばす活躍ぶりは、実に頼もしいかぎりだ。
 
取材:羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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