【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|試合映像を選手に見せるタイミングは?

2017年07月05日 渡邉 晋

フィードバック用の編集作業は自身で行なっている。

狙いと意図をしっかりと表現できたG大阪戦。ただ守備面では失点直結するボールの失い方も……。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 ベガルタ仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第16回。テーマは「ビデオ分析」だ。試合と試合の間に行なうトレーニングにおいて、映像はどのような役割を果たしているのだろうか。
 
 7月1日に行なわれたJ1リーグ17節・G大阪戦(2-3)と、今週末に開催される18節・神戸戦を材料に語ってもらった。
 
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[J1リーグ17節]仙台 2-3 G大阪/7月1日(土)/ユアスタ
 
 G大阪戦は敗れたものの、狙いと意図をしっかりと表現できた試合だったと思う。結果として敗れた以上、もちろん満足などしていない。しかし、攻撃で良かった面を切り取ってみれば、たとえ上位チーム相手でもやれることがかなり増加したと感じている。
 
 ただ守備面では、チーム全体として相手に与えてはいけないゾーン、タイミングでボールを失っている事実がある。それが失点に直結しており、絶対になくさなければならない。
 
 普段の練習で何かを得ようと思えば、別の何かを我慢する必要がある。これまでは、どちらかと言えば「チームの全体像を擦り合わせる作業」に重きを置いてきた。だからこそ、ボールを持って崩し切るという共通の絵を全員で描けるようになった。
 
 一方で、ファイナルサードでのクオリティ、つまりシュートやラストパスの質はもっともっと高めていかなければいけない。これからは個々にフォーカスした練習も増加させなければ、と私だけでなくスタッフも改めて感じている。
 
 さて、今回のコラムでは「映像」について話そうと思う。コーチ時代からの習慣もあってか、フィードバック用の編集作業は自身で行なっている。まず1回、試合を流して振り返る。この時には交代のタイミングや「違う手が打てたのでは」といった自身の反省点も見えてくる。
 
 その後、気になるシーンを抜粋していくのだが、その映像では「抜粋した現象に対する修正」しかできない。これはチーム全体の反省として課題を克服するためのものになるので、自分自身の反省は90分を通して見るなかで行なっている。

次ページ実際に次の対戦相手の映像を見せるのは試合前日。

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