【C大阪】18番目のチームが首位へ! FC東京戦の逆転劇に見るユン・セレッソの進化と突き付けられた課題

2017年07月04日 前田敏勝

昨季J2で4位のチームが暫定トップ。その要因となった武器とは?

17節のFC東京戦は鮮やかな逆転勝利。松田(2番)のゴールで勝ち越しに成功した。写真:川本 学

 セレッソ大阪は今季のJ1で、いわば「18番目のチーム」としてスタートを切った。昨シーズンはJ2で4位、2シーズン連続で出場したJ1昇格プレーオフを勝ち上がり、北海道コンサドーレ札幌、清水エスパルスに次いで、最後の3番目の椅子に滑り込む形で、3年ぶりのJ1復帰を果たしたのだ。その桜色のユニホームをまとうチームが、前半戦17試合を終え、暫定とはいえ首位に立った。
 
 シーズンの折り返し点となる17節では、ホームでFC東京に3-1と逆転勝利。9位以内、J1残留をノルマに掲げていたなか、ユン・ジョンファン監督体制1年目の今季、シーズンを半分終えた段階で、10勝5分け2敗、勝点35、得失点差+18と、好成績を上げている。そして、今節のFC東京戦は、「ユン・セレッソ」の成長を感じさせる試合でもあった。
 
 相手のFC東京は、「立ち上がりから狙いを持って、しっかりC大阪に対抗した」と篠田善之監督が語っていた通り、負傷欠場した大久保嘉人に代わって先発した永井謙佑のスピードを活かし、カウンター狙いを鮮明にしてきた。そして、その形から、C大阪は21分、ピーター・ウタカのゴールで先手を奪われる。
 
 その後、反撃に打って出るも、FC東京の選手たちの帰陣も早く、攻めあぐね、C大阪にとってはもどかしい展開が続く。前半終了間際には、左サイドからのソウザのクロスを、ペナルティエリア内で水沼宏太がヘッドで右から折り返し、ゴール前の柿谷曜一朗に好機が訪れたが、ヘッドで合わせせたボールは枠の上に外れる。チャンスを掴みながら点を取りきれない流れは、試合を支配しながら勝ちきれなかった15節の清水戦と似た形。「前半はやろうとしていたことが、よく出なかった」と、ユン・ジョンファン監督。嫌な予感が漂った。
 
 しかし、当の選手たちは、冷静だった。「今は先制点をたとえ取られたとしても、いい意味での開き直りのようなものもある」というのは、杉本健勇だ。そして、ユン・ジョンファン監督のもとで磨いてきた今季の特長である"サイド攻撃"が威力を発揮するのだ。
 
 57分に杉本のヘディングシュートで試合を振り出しに戻すと、63分には最終ラインの裏に抜け出した松田陸がゴールネットを揺らす。アシストは、いずれもユン・ジョンファン監督の鳥栖時代からの門下生、水沼宏太だった。負傷の清武弘嗣に代わって2試合ぶりに先発したハードワーカーが、杉本への高精度クロス、オーバーラップした右SBの松田への絶妙なスルーパスと、右サイドを起点に相手を攻め崩し、流れを呼び込んだ。

次ページ躍進の立役者・山村に厳しいマークも。対策を講じる相手を乗り越えられるか。

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