【横浜】打ち立てた金字塔の裏側。中澤佑二の連続フル出場の秘訣は「監督へのゴマすり」!?

2017年07月02日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「ほしいのは個人の記録よりもマリノスでのタイトル」

140試合連続フル出場はフィールドプレーヤーとして歴代1位。中澤の大記録をモンバエルツ監督も讃えた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ17節]大宮 1-2 横浜/7月1日(土)/NACK
 
 フィールドプレーヤーとして歴代1位の140試合連続フル出場(最多は鹿島のGK曽ケ端準の244試合)。中澤佑二が達成した大記録を前に、エリク・モンバエルツ監督は試合後の会見で"鉄人"に対する賛辞を惜しまなかった。
 
「まず、この場を借りてボンバーに『おめでとう』と言いたい。(140試合連続フル出場は)世界的に見ても素晴らしい記録だと思う。
 
 彼のパフォーマンスは今でも向上している。私が求めているプレースタイル、それに応えようとしてくれているのだ。特にビルドアップはどんどん良くなっている。
 
 また、彼はチームをメンタル面で引っ張ってくれるリーダーでもある。トレーニングでもみんなの模範となる姿勢を見せてくれており、私は日本に来て、彼のような素晴らしい選手に出会えたことを幸運に思う」
 
 59分のマルティノスの先制ゴールは、中澤のウーゴ・ヴィエイラをピンポイントで狙ったかのようなクリアが起点。39歳にして成長が止まらないからこそ、中澤は指揮官に「起用したい」と決断させているのだ。
 
 加えて、押し込まれてもディフェンスリーダーとして焦れることなく冷静に対応。立ち振る舞いはJ1屈指のCBとして文句のつけようがなく、大宮攻撃陣の前に文字通り巨大な壁として立ち塞がった。
 
 15節のFC東京戦から3試合連続でスタメン出場を果たし、目の醒めるようなロングシュートを突き刺したDF山中亮輔も、中澤が最終ラインにいることの頼もしさを語る。
 
「偉大な選手ですし、(後ろにいることで)安心感が全然違う。今日のようなゲーム展開でも、最後はしっかりと守り切ってくれる強さは一緒にプレーしていて勉強になる。物凄い選手だと改めて感じています」
 
 ただ、当の本人は「140」という数字にも、「記録は記録としていいとは思うけど、僕がほしいのは個人の記録よりもマリノスでのタイトル。おまけで個人の記録がついてくれば」とどこ吹く風だ。
 
 長期間のフル出場の秘訣を聞かれても、「毎日飯を食って、練習して、寝て、監督へゴマすりして」。真面目なコメントに、スパイスとして少しのユーモアを。金字塔を打ち立てても、普段のスタイルを崩さない。
 
 プロフェッショナルとして身体を気遣い、トレーニングを怠らず、指揮官の要望に応える。それを特別だと考えずに実行できているからこそ、特別な日を迎えられたのだ。そして、普段の行ないとしているからこそ、141、142、143……と記録は伸び続けるだろう。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)

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