【広島】浮き彫りになった迷い、自信のなさ。負のループから抜け出す術は単純で難しい

2017年06月26日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「監督として足りないところがあるのだと思う」(森保監督)

降格圏から脱出するために絶対に落とせない一戦だったが……。自信を失ったまま、勝点3を献上してしまった。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ16節]広島 0-3 大宮/6月25日(日)/Eスタ
 
 これが"あの"広島なのか――。試合終了を告げるホイッスルと同時に鳴り響いたブーイングのなか、ピッチで苦悶の表情を浮かべる選手たちがやけにもの悲しげに見えた。そして、サポーターの怒りは最終的に出発を待つチームバスへも注がれた。
 
 降格圏に沈むチーム同士の対戦だった(16節キックオフ時点で広島が勝点10の17位、大宮が勝点11の16位)。だからこそ、直接対決の勝点3はいつもより価値がある。それをやすやすと相手に渡してしまった。
 
 ミックスゾーンに現われた森保一監督、そして選手たちは憔悴し切っていたと思う。90分、戦い抜いた疲労もあるだろう。だが、重要な試合を落とした現実に打ちのめされていたように感じる。
 
「応援してくれるサポーターに勝利を届けたいという気持ちで選手たちは戦ってくれた。悔いは勝てなかったこと。監督として僕自身足りないところがあるのだと思う」(森保監督)
 「なかなか勝てずに申し訳ないです」(柏好文)
 「……本当に申し訳ない気持ちです」(千葉和彦)
 
 シュート数は21対11(前半9:4、後半12:7)と、大宮のほぼ倍。決定機の数も6対3と勝っている。それでも、広島がゴールネットを揺らしたのはゼロ。対して、61分と90+4分と90+5分の3回も辛酸を舐めてしまった。
 
 前半は上手く押し込んだ。CB千葉、2ボランチの森﨑和幸と青山敏弘の3人を中心に相手のハイプレスをいなす。左右ストッパーの水本裕貴、野上結貴、時にはGK林卓人もボールの避難所として機能した。
 
 そこからピッチを横断するサイドチェンジ、鋭い縦パスを供給してゴールへ迫った。仕方なくリトリートした大宮守備網の穴だけが目に付く。「得点を取りに行っていた」(柴﨑晃誠)のがよく分かる。そんな展開だった。
 
 だが、「チャンスは作れていた」(柴﨑)のにゴールは遠かった。そうして、徐々にトーンダウン。結果論だが、大宮の守備戦術を無効化して急所へとボールを打ち込んだ前半に先制できていれば、結果はまったく違ったものとなっていたはずだった。

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