【柏】「レイソルのブスケッツ」となるか。手塚康平に訪れた本格ブレイクへの試練

2017年06月26日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

スペイン代表MFを彷彿させるテクニックや展開力とともに光るのが、パンチのあるシュート。

手塚は、チームの好調を支える貴重なゲームメーカータイプ。今後も相手からのマークがより厳しくなりそうだ。写真:田中研治

[J1リーグ16節]柏2-1札幌/6月25日(日)/柏
 
 手塚康平は、今季の柏の快進撃を象徴する選手のひとりだ。
 
 手塚の最大の持ち味は、左足のキック。長短のパスを織り交ぜながら攻撃のリズムを創出する展開力は見事で、ゲームメーカーが少ない柏にとって、いまや欠かせない戦力となっている。
 
 現在21歳の手塚は、柏の下部組織出身。14年に2種登録されたものの、15年に直接トップチームへ昇格せずに、出場機会を求めてレンタル移籍を志願する。しかし、希望に沿うようなオファーはなく、「それならば、海外に行った方が経験になる」と、ニュージーランドのセミプロクラブであるオネハンガでキャリアをスタート。1年後の2016年に、柏のトップチームに正式に加入した。
 
 トップチーム1年目となった昨季は、アカデミーの同級生である中山雄太の活躍に刺激を受け、課題の守備面が飛躍的に向上。
 
 そして、今季ルヴァンカップ・1節の清水戦でスタメンに抜擢されると、いきなりプロ初ゴールを奪取。この好パフォーマンスが認められ、5節の広島戦からリーグ戦でも先発に定着した。
 
 この台頭著しいレフティボランチが参考にしているのは、バルセロナのセルヒオ・ブスケッツだという。
 
「組み立てというよりも、ボールの受け方や、それからの判断、落ち着きのあるプレーを見ている。パスを受けてから相手をいなして展開するプレースタイルは参考にしています」
 
 たしかに、ボールの置き方や、DFの寄せてきた勢いを利用する巧みなターンなどは、このスペイン代表MFに通ずるものがある。
 
 そうしたテクニックや展開力とともに光るのが、パンチのあるシュートだ。
 
 9節の新潟戦で鮮やかなFKを突き刺し、J初得点を挙げると、11節のFC東京戦では、約30㍍のロングシュートを決めている。
 
 手塚自身も「前からシュートは自信を持っていましたけど、シュートの意識はかなり強くなっています。FC東京戦でもあったように、前を向いてフリーならドンドン打つようにしている」と手応えを語る。
 
 16節の札幌戦では、計3本のシュート(クリスティアーノの4本に次ぐチーム2番目)。いずれも強烈なミドルシュートで得点の匂いを感じさせた。とはいえこの日も含め、相手のブロックにあったりと12節の磐田戦からゴールは遠ざかっている。自身も日に日にマークが厳しくなっていることも感じている。
 
「サイドから自分にパスが戻ってきた時に、相手が必ず寄せてきてシュートを打たせないようにしてきました。自分にロングボールを蹴らせないように、前よりも相手からの寄せがきつくなってきている。そのせいで自分は横パスが増えている」
 
 チームは現在リーグ首位で、そのレギュラーとあれば、相手からのマークが強まるのも当然だ。しかし、この警戒網を破った時に、本格ブレイクを果たせるかもしれない。
 
「そのなかで、もっと決定的なパスができたり、前で良い仕事ができるようにならないと」
 
「レイソルのブスケッツ」となれるか。柏の新鋭MFに注目したい。

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取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
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