【横浜】「もう呪いかな」と嘆く齋藤学。ゴールから見放される現状に本人の思いは?

2017年06月26日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

ゴールに「近づいている感」は確実に掴んでいる。

いまだ公式戦無得点と苦しむ齋藤だが、神戸戦のパフォーマンスは決して悪くなく、待望の“今季初ゴール”も近づきつつある。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ16節]横浜2-0神戸/6月25日/日産スタジアム
 
 88分のシュートは、やや強引だったかもしれない。
 
 後方からのロングボールに抜け出した齋藤学が、GKと1対1に。最初のトラップで上手くコントロールできず、一度はGKにかき出されたが、自らルーズボールを拾う。すぐ横には富樫敬真がフリーでいた。しかし齋藤はパスを出す素振りは見せず、角度のないところから右足を思い切り振り抜いた。
 
 ボールは枠を捉え切れないどころか、逆サイドのタッチラインを割る。極めてゴールの可能性が低いシュートだったが、齋藤の"今季初得点"に対する貪欲な姿勢が垣間見えるワンプレーだった。
 
「2-0だったし、もうラストだったので。敬真が呼んでだけど、全然出す気はなかった」
 
 試合後、富樫にはパスを出さなかったことを謝ったという。もっとも、あの場面では自分の結果にこだわった。
 
 リーグ戦のみならず、すべての公式戦で今季ここまでノーゴールが続く。そんな状況に、齋藤は「もう呪いかな」と自嘲気味に話す。
 
 18分には、渡部博文を鮮やかに股抜きして決定機を作り出し、渾身の一撃を放つも、これは北本久仁衛の身体を張ったブロックに阻まれる。「決め切る力は大事」と反省を口にする一方で、ゴールに「近づいている感」は確実に掴んでいる。
 
 痛めていた踵も「やっと痛くなくなってきた」。持ち前のドリブルで相手を置き去りにするシーンも増えてきた。チームの勝利を最優先に考えるスタンスに変わりはないが、「やっぱり代表に入りたいので。結果を出していかないと」と言葉に力を込める。
 
 誰よりも相手のマークが厳しく、それを逆手にとって囮になる役目も厭わない。献身的な守備でも魅せるが、ゴールから見放される現状に、本人に思うところがあってもおかしくはない。
 
 とはいえ、一時期の不調に比べ、コンディションは間違いなく上がってきているし、開幕当初に見せていた躍動感を取り戻しつつある。
 
「本当に、ここまで点が取れないのは、なんか憑いているのかなって思いますけど。でも、すごく良い経験だし、この辛い状況をしっかりと噛み締めていきたい」
 
 待望のエースの一発が生まれれば、目下4連勝中のチームはさらに勢いづくはず。その瞬間まで、齋藤は決して諦めずに前を向いて戦う覚悟だ。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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