鳥栖を襲う"2点目欠乏症"につける薬はあるのか?

2017年06月19日 荒木英喜

練習では相手の攻め所を見極めて突く形を確認しているが…。

豊田が抜け出すなどチャンスは作ったが、それでも2点目は遠かった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

[J1リーグ15節]鳥栖1-1仙台/6月17日/べアスタ

「今日も追加点、試合を終わらせるゴールを取れなかった」

 マッシモ・フィッカデンティ監督は仙台戦後にこう話した。この試合を前に選手たちは、先制しながら追いつかれて引き分けに終わったアウェーでの前節・大宮戦の反省を踏まえて、次のように語っていた。
 
「大宮戦だけじゃなく今季は先制しても追いつかれたり、逆転されたりしてしまうことが多い。そういう意味では1点取ったあとにどう試合を運ぶのか」(吉田豊)

「例えば、大宮戦だったら前半のうちに2点目を取らないといけませんでした。90分間のなかでは相手の時間が必ずあるので、耐えるところはみんなで耐えて、前に行ける時間ではチーム全体でドッと前に出るという、ゲーム全体の流れを見ながら一人ひとりがそれを判断して試合をできればいい」(原川力)
 
 しかし、結果から見れば、大宮戦と同じ轍を踏んでしまった。

 鳥栖は今季15試合中11試合で先制点を挙げており、無得点試合は2試合しかない。だが、これだけ多くの試合で先制点を挙げながら、2得点以上奪った試合はわずか2試合のみ。現在、9試合連続1得点以下を継続中だ。

 鳥栖に大きな影を落としているこの課題にマッシモ・フィッカデンティ監督が取り組んでいないわけがない。「2点目が取れていないことは課題だと言われて、練習からみんな(意識して)やっていると思います」と攻撃の中心である鎌田は言う。
 
 その言葉どおり、日頃の練習では次節の相手の攻め所を見極めて、そこを突く形を確認している。それでも一朝一夕で結果に表れないのが攻撃だ。「そんな簡単にうまく行くものではないので焦れずに続けて行くだけだと思います」と鎌田は前を向いた。

 もちろん、チャンスが作れていないわけではない。仙台戦でも41分にMF鎌田大地が左サイドで抜け出してGKと1対1になったり、62分に蒲田からのグランダーのクロスをニアでFW豊田陽平が左足で合わせたり、89分にも相手DFの背後に豊田が抜け出すなどチャンスは作った。それでも2点目は遠かった。

次ページチームとしての狙いがハマれば、自ずとチャンスは作れている。

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