拮抗した"神阪ダービー"で勝敗を分けたポイントは――長沢にあってウエスクレイになかったもの

2017年06月19日 白井邦彦

ゴールシーンを巻き戻すと、長沢がワンタッチで落とすシーンにたどり着く。

中盤で存在感を発揮したニウトン。このボランチの活躍で神戸はリズムを作っていたが…。写真:川本学

J1リーグ15節]神戸0-1G大阪/6月17日/ノエスタ

 ホームの神戸はサイドバックの高橋峻希と橋本和、CB岩波拓也、ボランチ高橋秀人ら主力が相次いで離脱。対するG大阪はワールドカップアジア最終予選のイラク戦に5人を送り込み、疲労が心配された。ともに万全ではなかったが、そこはダービー、球際の激しい好ゲームとなった。
 
 特に中盤の支配をかけたボランチ対決は見応えがあった。神戸のニウトンがボールを持つと、ボランチの遠藤保仁と今野泰幸だけではなく、堂安律や倉田秋までもが素早く身体を寄せてボールを奪いに行く。岩波不在の中でビルドアップの起点となるのはニウトンになるという前提で、G大阪は徹底的に彼を潰しにかかった。
 
 それでも前半は三原雅俊のカバーリングのうまさもあって、神戸が中盤の主導権を握った。ネルシーニョ監督も試合後の記者会見で「前半、我々は良い対応をして、良いリズムの内容だった。セカンドボールもうちの選手のほうが多く拾い、神戸のペースで試合を運べていた」と振り返っている。
 
 前半のシュート数を比較しても神戸の10本に対して、G大阪は4本。勝負に"たられば"はないが、神戸が押し込んでいた前半にゴールを挙げていたら、違った結果になっていたかもしれない。逆にG大阪は前半を無失点で乗り切ったことで後半に流れを引き戻すことになる。
 
 そんな流れのなかで、勝敗を分けたポイントのひとつは"前線でのボールの収め方"。両チームとも選手を交代することでリズムに変化を持たせようとした。
 
 先に動いたのはG大阪だった。52分に疲れの見えたパトリックから長沢駿に変更。長沢はワンタッチのリターンパスを織り交ぜたポストプレーを見せ、2列目の選手をうまく活性化させた。個の力でボールを納めがちだったパトリックとは異なり、長沢の投入により攻撃スピードは加速。この速い攻撃が70分の得点につながった。
 
 この得点シーンを巻き戻していくと、長沢がワンタッチで後方の遠藤にボールを落とすシーンにたどり着く。このパスを今度は遠藤がワンタッチで左サイドに流れた倉田へパス。このふたつのワンタッチパスによって、神戸のDFは自陣に戻りながらの守備を強いられる。

次ページ両者とも交代選手がよく機能したが、収め方の質がやや異なった。

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