柏との明確な差を感じるも…甲府監督が胸を熱くした愛弟子たちの成長ぶり

2017年06月19日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

試合後、恩師の下に教え子が集まる。

柏と対戦した甲府の吉田達磨監督は様々な感情を交錯させながら試合を振り返った。(C)SOCCER DIGEST

[J1リーグ15節]甲府 0-0 柏/6月17日/中銀スタ
 
 スコアレスドローに終わった試合後、甲府の吉田達磨監督の周りに柏の選手たちが集まった。
 
 吉田監督は2003年に柏の育成部コーチに就任以降、13年間に渡りアカデミーの育成やトップチームの強化に携わった、いわば柏の重鎮。アカデミー出身の選手が多いことでも知られる柏は、この日もスタメンの11人中8人がクラブの生え抜きであり、ほとんどの選手が試合後に恩師のもとへあいさつに行った。
 
 暫定首位を相手に善戦しながらも、ホームで勝点1に終わったことで悔しさを滲ませた吉田監督。それでも、愛弟子たちを前にして、楽しそうに会話を交わす姿がとても印象的だった。
 
「プライベートな話ばっかりです」と嬉しそうに話す甲府の指揮官だが、敵将として彼らの成長を存分に感じたようだ。
 
「柏レイソルは、良いビジョンのもとに、おそらく相当良いトレーニングを積んでいる。8連勝というのは運ではできないですから、僕たちがそこに到達するにはまだまだ差があるんだなというのを感じた。柏は巧さ、強さ、正確さ、がある。僕らも同じように狙いましたけど、やはり合わない場面があった」
 
 甲府の監督として、柏との間に感じた"差"。それは、悔しさでもあり、愛弟子の成長という嬉しさでもあると言葉を続ける。
 
「もうみんな、当たり前だけどだいたい20歳過ぎれば、身体も出来上がってくるし、スピード感も出る。そうなると、サッカーのインテリジェンスがさらに活かされると感じた。みんな自信を持って堂々とピッチに立ち、迷いなく走っているのは、あぁすごいなぁ(と思った)」
 
 小さいころから知っている選手たちの活躍は「嬉しいことでしかない」(吉田監督)。しかし、「負けないで良かったが、今日は勝ちたかった」とも述べる。様々な感情を交錯させながら、古巣との対戦を終えた吉田監督は「成長もそうだし、顔を合わせることもそう。彼らが勝利して、大人になっていくことは、嬉しいことですよねぇ」と感慨深げに振り返った。

取材・文:志水麗鑑(サッカーダイジェスト)
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