【U-20】久保建英が感じた南米王者との差とは?「本当にやれるのかなという不安もあった」

2017年05月25日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「後半は全然やれないことはないなと思ったけれど…」

20分に負傷した小川に代わってピッチに立った久保。ウルグアイとの差を認めつつも、随所にらしさを見せつけた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[U-20ワールドカップ・グループステージ2節]日本 0-2 ウルグアイ/5月24日/水原

 20分、小川航基の負傷交代に伴い「背番号20」に声が掛かった。

 ウォーミングアップもままならないまま急遽ピッチに立った久保建英は、小川に代わって2トップの一角で出場。しかし本人が「前半は全然良い入りができなくて、ハーフタイムにこれじゃ終われないなと思っていた」と明かしたように、南米王者・ウルグアイはこれまでとは勝手が違った。

 フィジカルや高さで勝る守備陣とのマッチアップでは分が悪く、「リーチもそうですが、速いので、そっちのほうが苦しかった」(久保)。前線でコンビを組んだ岩崎悠人と動きが被るシーンも見受けられるなど、納得いくパフォーマンスでなかったと言うのも頷ける。

 それでも相手のペースが落ちた後半は、判断力やテクニックの高さを随所に見せつけた。

 54分、市丸瑞希のシュートがGKに弾かれたこぼれ球にいち早く反応。ヘディングシュートは惜しくもバーの上へ外れたが、その3分後にはゴール前の密集地帯を抜けて左足のシュート。さらに66分には、岩崎に決定的なスルーパスを通すなど、攻撃にリズムを生み出した。

 結果は残せなかったが、適応能力の高さを生かし、徐々に存在感を高めていったという点は評価に値する。15歳という年齢を考えれば、なおさらだろう。

「後半は全然やれないことはないなと思ったけれど前半は正直、本当にやれるのかなという疑問や不安もあった。いろんなことが良い意味でも悪い意味でも得られた試合だったと思います」

 初戦の相手、南アフリカよりも一枚も、二枚も上手だったウルグアイに対し、久保が率直に差を感じていたのも、こうした言葉から明らかだ。ただ、昨年のJ3デビューから半年足らずで驚異的なスピードで成長してきたように、周囲のレベルに合わせて進化を遂げられるのも久保ならではの特徴でもある。そうした事実を踏まえると、期待感は高まるばかりだ。

「何回もあったチャンスを決め切れず、逆に相手は一発で決めてきて負けてしまったというのは、正直悔しい。ただもう終わったことなので、後ろを見ずに次のイタリア戦に向けて気持ちも身体も切り替えていけたらなと思います」

 左膝を負傷した小川の状態次第では、イタリア戦での先発も考えられる。ここ2試合とも「違い」を見せつけてきた久保に、ハイレベルな戦いをできるだけ多く経験させたい――。誰もがそう感じているに違いない。

【U-20W杯|日本 0-2 ウルグアイ PHOTO】小川負傷で久保投入も決定力不足に泣く

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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