【現地発】バルサから2発でも乾貴士は「一喜一憂していられない」。永遠のサッカー小僧がそう語った理由とは?

2017年05月23日 山本孔一

カンプ・ノウでの2発を「名誉だし、一生の思い出になる」。

バルサから2ゴールを奪った乾。岡崎をはじめ多くの日本人を興奮させた。(C)Getty Images

「サッカー小僧が伝説を残したと思う。興奮が冷めない」
 
 5月13日のマンチェスター・シティ戦で美しいダイレクトボレーを決めたレスターのFW岡崎慎司は、5月21日のカンプ・ノウでバルセロナ相手に2ゴールを叩き込んだ乾貴士を賞賛するツィートをした。
 
 岡崎と乾、ブンデスリーガ時代の仲間でお互いを「永遠のサッカー小僧」と呼び合う2人は、普段から連絡を取りサッカー談義に花を咲かせているようだ。どうすればもっと良いプレーができるのか、結果を残せるのか――。
 
 実際、乾は定位置を掴みつつあったベティス戦(昨年11月25日)後のミックスゾーンで、「岡ちゃんが『俺はあまり気にせずに、何も考えずに走っている。そうしたらCLでも点が取れた』とアドバイスをくれた。それで自分も何も考えずに走ろうという考えができた。今日はその辺で吹っ切れたのかなと」と欧州のトップレベルで結果を残している岡崎の一言で、自身の中にあった迷いが消え、思い切りのあるプレーができようになったと話していたことがあった。
 
 公式戦で日本人がバルサからゴールを奪ったのは史上初であり、しかも舞台はカンプ・ノウ、相手もリーガ優勝が懸かった本気モードだった。乾の2ゴールは、日本のサッカーファンにとって誇りであり、嬉しいニュースだ。
 
「バルサ相手に2点を決められたのはすごく嬉しいことだし、名誉なこと。もちろん、嬉しいことだし、一生忘れられない。自分の思い出の中には残る」
 
 立つことすら簡単なことではないその舞台で、最後は2ゴールを決めたリオネル・メッシに主役の座を奪われたが、日本だけでなく世界のサッカーファンが認めるだけの活躍をしたことに、乾自身も満足感を示した。
 
 とはいえ、カンプ・ノウは毎週末に世界のトップクラスが、その類まれなタレントを披露してしのぎを削るために用意された舞台の一つでしかない。乾自身も自分のゴールがチームの勝利に結びつかなかったことに対する悔しさを隠すことはなかった。
 
「最終節で2点取れたのは良かったし、良い形で終われたのは嬉しいです。でもやっぱり、負けてしまうと半減してしまうので悔しいですし、ゴール以外で何かしたかというと、たいして何もできてない。差を見せつけられた想いほうが強いので。悔しいほうが多い」

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