【U-20】「世界でも全然やれる」エース・小川航基に芽生えた確かな自信

2017年05月22日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

「外した時にどういう気持ちになるかっていうのがすごくストライカーのメンタルとしてすごく大事」

チャンスを生かせなくても、決して下を向かなかった小川。気持ちの切り替えが大事だと本人は強調する。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[U-20ワールドカップ・グループリーグ第1戦]日本2-1南アフリカ/5月21日/水原(韓国)

 世界大会での記念すべき初ゴールは、豪快にネットを揺らし続けてきた小川航基からすれば"らしくない"形だった。

 48分、左サイドを突破した岩崎悠人からのクロスに、ニアサイドで合わせたシュートは強いヒットにはならず、弱々しくゴールへと向かい、ラインぎりぎりのところでGKに掻き出された。

 その後、一旦プレーは続行されたが、今大会から導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー制度)によってゴール判定に。映像を見返すと、ボールは確かにゴールラインを割っていた。

「入ったか入ってないか分からない、俺のゴールだか俺のゴールじゃないかも分からない感じだったんでムズムズした感じ。もっとバシッと決めたかった。それは次のもっと強豪とやる時(に取っておいて)、もっと大事な試合でバシッと決められるようにしたい」

 やや納得しない表情でこう語った小川には、前半に二度のビッグチャンスが訪れた。18分にCKの流れから、ゴール前で左足を振り抜いたがポストに嫌われ、29分には三好康児(川崎)のクロスにヘッドで合わせたが、シュートはわずかにゴール左に逸れる。

 ただ、それでも決して下を向かないことが大事だと、小川は強調する。

「外した時にどういう気持ちになるかっていうのが、ストライカーのメンタルとしてすごく大事だと思う。いつまでも『あ、やべー。外しちゃったな』という顔色ではなくて、『全然』という顔色だったり、自信だったり、すぐに切り替える力だったりとか。そういうのもFWにとって必要なものなんじゃないかなと思います」

 決定機を外しても、次のチャンスをモノにすればいいー―。そう強く誓ったことが、後半早々の得点へとつながったのだろう。決して綺麗な形ではなかったかもしれないが、逆に、泥臭く奪った1点には、ゴールへの執念が宿っていたようにも見えた。

「フワフワしたような得点になっちゃいましたけど、やっぱり得点が取れたということは自分の中でも大きかったと思います」

 メンバーの大半がそうであるように、自身にとっても初の世界舞台。フィジカルとスピードに優れた南アフリカの選手たちに圧倒される場面がありながらも、虎視眈々とチャンスを待ち続け、結果を残したことは大きな自信につながっただろう。

「(世界でも)全然やれるという自信はあります。イタリアだろうが、ウルグアイだろうが。ただ次はそれ以上のプレーをしないといけない。南アフリカは強豪国と比べたらやっぱりレベルは落ちる。すぐ次に切り替えて、次の相手にどういったプレーができるのか。それが楽しみです」

 次戦の相手は南米の強豪・ウルグアイ。さらなる難敵が待ち受けるが、エースの豪快な一発が見られることを期待せずにはいられない。

【U-20日本 2-1 U-20南ア PHOTO】小川、堂安のゴールで鮮やかな逆転劇

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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