【U-20 南ア戦プレビュー】2トップは小川&岩崎。15歳の久保は「ジョーカー」起用へ

2017年05月21日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

全体をコンパクトに保ち、連動した守備を発揮できるか

グループリーグ1節・南アフリカ戦の予想布陣

 日本にとって5大会ぶりのU-20ワールドカップがいよいよ幕を開ける。「心身ともに非常に良い状態」(内山篤監督)と言うように、17日の韓国入り後、連日トレーニングに励んできた選手たちのコンディションは良好。幸い怪我人も見られず、満を持してこの一戦を迎えられそうだ。


 初戦の相手となる南アフリカの特徴は、縦に素早い攻撃だ。「身体能力が高く、スピードがある」(内山監督)選手たちが集うだけに、隙を見せてしまえば命取りとなる。警戒すべきは3トップ気味に張り出したアタッカー陣で、その一角で先発するであろうルーサー・シンは、アフリカ予選で得点王に輝いた実力者。彼をいかにゴールから遠ざけるかがポイントになる。

 個々の能力で一枚上手となりそうな南アフリカを敵に回すとあって、日本は堅実な舵取りが要求されるだろう。全体をコンパクトに保ってスペースを埋めることを十分に意識する必要があり、これをチームとしていかに意思統一できるか否かが勝敗を左右すると言っても過言ではない。

 試合前日に行なわれた戦術練習を見る限り、先発の顔ぶれは15日に行なわれたホンジュラス戦のそれとほぼ変わりはない。唯一変更されそうなのがボランチ2枚の一角で、原輝綺(新潟)ではなく、板倉滉(川崎)の起用が濃厚だ。

 この変更に至った伏線として考えられるのが、ホンジュラス戦で喫した2失点目。中盤のルーズボールを拾われ、一本のスルーパスで最終ラインを破られたこの失点には、内山監督も「一番嫌いな失点」と納得していない。

「少し安易にしていると、相手の速い攻撃を受ける」(内山監督)のはホンジュラス戦で痛感した。連動したプレスと、攻守の切り替えの速さの重要性が改めて浮き彫りとなったこともあり、攻守両面で上手く振る舞える板倉を抜擢したとの見方はできそうだ。

 攻撃に関しては、従来通り相手の出方を窺いながらピッチを幅広く使った攻めを展開するのは不変だろう。前線では、小川航基(磐田)のキープ力、さらには、岩崎悠人(京都)の背後への動き出しを生かしながらチャンスへ結び付けたい。

 膠着した展開となれば、飛び級招集で注目される久保建英(FC東京U-18)の途中起用も十分考えられる。その実力の高さは申し分なく、これまでの実戦機会で示してきたように、前線でコンビを組むであろう小川と補完関係を築きながら、背後への飛び出し、あるいは、一歩下がってボールを受けながらゲームメイクにも関与する。

 久保にとっても、今大会が世界大会のデビュー戦。この15歳のアタッカーが、どこまで違いを生み出せるかは、ひとつの注目点となる。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
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