「FIFAとUEFAは人種差別に向き合っていない」ムンタリが怒りの訴え!

2017年05月09日 サッカーダイジェストWeb編集部

「犯罪者のように扱われた」ムンタリが訴えたこととは?

ムンタリは自らの腕を指示し、「これが僕の肌の色だ」と相手サポーターに対して怒りをぶつけた。 (C) Getty Images

「人種差別が今日、明日、または次の試合で行なわれれば、僕は再びピッチを去る」

 そんな言葉は当事者であるがゆえの重みがある。元ガーナ代表MFのサリー・ムンタリが英国メディア『BBC』の取材に対して、サッカー界における人種差別の実態を告白した。
 
 セリエAのペスカーラに所属するムンタリは、4月30日に行なわれたカリアリ戦(セリエA34節)で、相手サポーターからモンキーチャント(差別的チャント)を浴び、主審に被害を訴えたが聞き入れてもらえなかった。
 
 その後、第4審判にも取り合ってもらえなかったムンタリは激怒し、この試合で2度目のイエローカードを受けることを覚悟で、自らピッチを去っていった。その行動はすぐさま世界中のメディアに取り上げられ、累積警告による出場停止処分も撤回された。
 
 BBCの取材に応じたムンタリは、「地獄だった……。まるで犯罪者のように扱われたからね。あのときピッチを去ったのは。人種差別を受けながらそこにいることが、自分にとって間違いだと感じたからだ」と当時のことを振り返った。
 
 またムンタリは、今回の自身に対する処分を撤回したのが、イタリア・サッカー連盟(FIGC)であったことにも不満を示している。そして元ガーナ代表の怒りの矛先はサッカー界の2大グループに向けられた。
 
「FIFAとUEFAは人種差別に対して真剣に向き合おうとはしていない。彼らは自分たちのやりたいことだけを気にかけている。差別と戦いたいのならば今すぐにでも取り組まなければいけないのに、彼らは何もしない。これは一大事だよ」
 
 そしてムンタリは、FIFAの現会長で、元UEFA会長でもあるジャンニ・インファンティーノに対して「人種差別と戦ってほしい。彼ならばうまくやれるはずだ」と取り締まりの厳格化を要求した。
 
 さらに処分のあり方のロールモデルが、イングランドであるとも語っている。2007-08シーズンにポーツマス、2011年にサンダーランドでプレーしていたムンタリは、「イングランドでは差別は全く認められていない。酷い言葉を浴びせられたこともない」と明かし、「イングランドが世界の手本だ。国が差別を許さなければ良い方向にいく」と提唱した。
 
 問題のカリアリ戦では相手サポーターに対して、「これが僕の色だ!」と主張したというムンタリは、人種差別を受ける人々へのメッセージも残している。
 
「人種差別はどこにでも存在し、それは良くない形で広まっている。僕が何を言いたかったかというと、ヘイトで苦しんでいる人は、恐れずに声を出してほしいということだ。何も怖がってはいけないんだ」
 
 自らが受けた悲惨な経験を改めて訴え、人種差別撲滅を願ったムンタリ。この声がサッカー界のみならず、世界に波及していくことを望みたい。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事