ブッフォン、「スペルガの悲劇」の犠牲者を侮辱する非道に激怒

2017年05月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

「『ヘイゼルの悲劇』の犠牲者を侮辱されると腹が立つだろう」

ブッフォンの必死の訴えは、全てのサポーターの心に届いただろうか? (C) Getty Images

 ユベントスは早ければ、今週末のセリエAで前人未到のリーグ6連覇が決まる。現地時間5月6日に行なわれるトリノダービーで勝利し、2位のローマが勝点を落とせば、3試合を残してのスクデット獲得となる。
 
 当然、ライバル関係にあるユーベとトリノは、試合を前にヒートアップしている。だが、その熱さが間違った方向に進んではいけない。ましてや、相手の悲劇的な歴史を侮辱するなど、決して許されない。
 
 ユーベGKのジャンルイジ・ブッフォンは4日、フェイスブックに長文のメッセージを投稿した。それは、今週発覚した「スペルガの悲劇」の犠牲者を罵倒する落書きへの怒りを表わしたものだった。
 
「スペルガの悲劇」とは、1949年5月4日、トリノ近郊のスペルガの丘に、当時、隆盛を誇っていたトリノの選手団を乗せた飛行機が墜落した航空機事故のこと。31名が犠牲になり、トリノの選手や関係者も多くが命を落とした。
 
 トリノは今月4日に追悼行事を催したが、その前日、教会近くの道路の壁に、犠牲者を侮辱する落書きが見つかった。犯人は不明だが、ライバル関係や優勝が懸かるダービーの直前とあり、ユーベ・サポーターの仕業である可能性も疑われる。
 
 だが、ユーベも1985年の「ヘイゼルの悲劇」(チャンピオンズ・カップ決勝前のサポーターの暴動で39名が死亡)で多くのサポーターが犠牲になった歴史を持つ。それだけに、ブッフォンは「スペルガの悲劇」に心を痛める人たちを愚弄する行為に我慢ならなかったようだ。
 
「最大のライバルであっても、彼らをリスペクトし、安らかにさせるべきだ。苦しんできた遺族に、さらに残忍な苦しみの瞬間を与えるのは非道なこと。自覚せずに、無作法なことを書いたり、不適切なバナーを掲げたりするのは、死以上の死だ」
 
 こう怒りを露わにした彼は、「『ヘイゼルの悲劇』の犠牲者を侮辱されると腹が立つだろう。同じ罪で自分たちを貶めるようなことはやめようじゃないか」「無作法に対抗するためだけに、卑怯で価値のない人間になってはいけない」と続けている。
 
 そして最後に、「僕が本当に君たちのことを誇れるようになってほしい」とサポーターたちに呼びかけた。
 
「ユーベのスタイルや価値観を信じる者であれば、苦しんできた人たち、今も苦しんでいる人たちの感情を冒涜するなど理解できないだろう。愛、感情、思い出を汚してはいけない」
 
 前日にチャンピオンズ・リーグ準決勝・第1レグのモナコ戦で同カップ戦通算100試合出場を飾り、6試合連続無失点での快勝に貢献して、改めて絶賛されたばかりのブッフォンだが、こういったメッセージを発することができるからこそ、世界からの賛辞が止まないのだろう。
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