【柏】完全復活のラストピース。新加入の細貝萌がもたらした真の効果

2017年05月01日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

ハードなタックルやカバーリング能力だけでなく、見逃せないのは。

新潟戦では後半途中から出場。身振り手振りを交えながら、チームメイトに声をかける姿が印象的だった。(C)J.LEAGUE PHOTOS

 [J1リーグ9節]新潟0-1柏/4月30日(日)/デンカS

 柏が新潟に勝利し、リーグ戦3連勝を飾った。4節の仙台戦までいずれの試合でも失点を喫し、1勝3敗とスタートダッシュに失敗した重苦しい雰囲気は完全になくなり、完全に復調したと言える。
 
 調子を取り戻した要因のひとつが細貝萌の加入だろう。3月24日に細貝が加入して以降、5節の広島戦からリーグ戦4勝1敗。このMFが出場しなかった清水戦を除いて、すべて勝利しているのだ。
 
 新潟戦でも、その効果は小さくなかった。62分に途中投入されると、中盤のスペースを埋めるだけでなく最終ラインまでの広範囲をカバーし、ピンチの芽を潰し続ける。1点リードしながらも猛反撃を受けていた柏にとって、劣勢を押し返す貴重な駒として働いた。
 
 下平監督も「前からプレッシャーにいきたかったけど、ホニ選手が速いので間延びさせられているのはどうしようもなかった。広がった中盤を、手塚(康平)よりも中盤でボールを拾え、セカンドボールに対して戦える細貝を入れました。本当に彼はあの時間帯で幅広く動いてくれて、ボールも奪ってくれましたし、最後は決定機につながるパスも出してくれて良い仕事をしてくれた」と称賛する。
 
 ハードなタックルや、カバーリング能力に優れる細貝に求められていたのは、もちろん守備面での働きだ。本人は「すごく難しい時間帯だった。でもリードしていたので、セカンドボールを拾うことだったり、守備のところでバランスを整えるということでピッチに入った」という。
 
 細貝の個人での貢献度も高かったが、見逃せないのは周囲にもたらす影響力だ。
 
「なんせ流れが良くないというか、攻められてる時間帯だったので、『どうにか辛抱強くいこう』とピッチに入ってすぐに(チームメイトに)伝えました。また、ボランチとしてタニくんとコミュニケーションを取りながら、とにかくセカンドボールを拾っていこうという話をした」
 
 ピッチに入るとすぐに身振り手振りを交えながらチームメイトに声をかけ、バランスの崩れた守備組織を整えた。

「良い時は、自然と結果がついてくるものだったりするので、厳しい時にどれだけ頑張れるかが重要。自分が周りの選手に言っている分、(柏に)来る前に映像で観ていたよりも、球際についてはみんなも意識してやってくれていると思っている」
 
 押されている状況でも大声でチームを鼓舞する選手は、開幕当初にはいなかった人材。勝ち切れずに沈んでいく雰囲気を変える意味では、細貝はまさに打ってつけだった。

「与えられた役割をこなすことに100パーセント集中したい。そのなかでリードしている状況で出て、リードしたまま終われたのはすごくポジティブなこと」

 ここまでリーグ戦で先発出場はないものの、与えられた役割を忠実にこなし、声でも周囲を牽引する細貝が加入した効果は、小さくないようだ。

【PHOTO】柏×横浜の美女サポーターたち♡
 
取材・文:多田哲平(サッカーダイジェストWEB編集部)
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事