【仙台】新助っ人の正体見たり。強さと高さだけではない、クリスランの持つ生真面目さ

2017年04月21日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

7節終了時点の数字だけでは新助っ人を測れない。

リーグ戦では初のスタメン出場を飾った7節・鹿島戦。チームは敗れたが、クリスランは50分にセットプレーからゴールを決めた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 クリスラン。今季から仙台に加わったブラジル人。与えられた背番号は20。左利き。公称187cm、85kg。威圧感はたっぷり。そのうえ金髪でモヒカン、左腕をタトゥーが覆う。風貌だけで判断するのであれば、真面目のそれではない。
 
 ここまでJ1リーグで4試合(161分)・1得点。出場したのは4節・柏戦(1-0)、5節・川崎戦(0-2)、6節・浦和戦(0-7)、7節・鹿島戦(1-4)。それぞれの出場時間とシュート数、トラッキングデータ(走行距離とスプリント回数)は以下。
 
対柏(アウェー)。3分(石原直樹と交代で87分から途中出場)、0本、1.148km、3回。
対川崎(ホーム)。23分(梁勇基と交代で67分から途中出場)、1本、3.157km、3回。
対浦和(アウェー)。45分(藤村慶太と交代で46分から途中出場)、0本、5.503km、13回。
対鹿島(ホーム)。90分(今季リーグ戦初先発)、3本(1得点)、10.153km、17回。
 
 示された数字も優良助っ人とは程遠い。例えば、新潟から浦和に加入したラファエル・シルバは、7節終了時点で5試合(414分)・5得点。直近のFC東京戦では興梠慎三に見事なスルーパスを通して決勝弾をアシストするなど、順調に適応している。
 
 例えば、先日の鳥栖戦で強烈な逆転ゴールを決めた磐田のムサエフ。例えば、中澤佑二と組んでフル出場を続ける横浜のミロシュ・デゲネク。ポジションは違えど(前者はボランチ、後者はCB)、それぞれがすぐにチームに馴染んで欠かせない戦力となっている。
 
 翻って、我が軍のクリスランのパフォーマンスはどうか。キャンプ中の負傷離脱もあり、コンディションが上がり切っていないのは確かだ。そのエクスキューズがあろうと、助け舟はなかなか出せないのではないだろうか。
 
 不可欠な選手という地位を確立できていない。クラブを勝利に導けていない。ウイルソン(現・甲府)とハモン・ロペス(現・柏)に代わる新エースとして招聘されたことを考えれば、周囲を納得させるほどの材料を提示できていないと言えよう。
 
 それでも、不思議なことにシーズン開幕前にあった期待値は少しも目減りしていないのだ。それは何も、結果を残せていない他クラブの新外国籍選手と比べてのことではない。もちろん、数字は正直だ。しかし、そればかりを追うとクリスランの姿を見失ってしまわないかねない。

次ページ試合後のコールが人物像を浮かび上がらせてくれる。

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