【今最も熱いJリーガー】「90+4分」、ウズベク人MFムサエフが射抜いた、ゴールの向こう側で声援を送り続けた磐田サポーターの心

2017年04月19日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

初のウズベキスタン人Jリーガー。内政の影響で来日が遅れたが……。

初のウズベキスタン人Jリーガーのムサエフ。ホームで2試合連続ゴール! 写真:田中研治

[J1 7節] ジュビロ磐田 2-1 サガン鳥栖 
2017年/4月16日/ヤマハ スタジアム
 
 ウズベキスタン人として初のJリーガーとなるジュビロ磐田のMFムサエフが、サガン鳥栖戦のアディショナルタイムの90+4分に強烈なショットを突き刺し、ドラマチックな逆転勝利をもたらした。清水エスパルスとの静岡ダービーでの左ボレーに続く、ホームゲームでの2試合連発は、いずれもインパクト十分。早くも磐田サポーターの心を鷲掴みにした。
 
 昨年12月21日に獲得が決まったが、来日は遅れた。1月13日の新体制発表と14日のチーム始動には間に合わず、19日から全体練習に合流した。
 
 母国のウズベキスタンは、16年9月2日にイスラム・カリモフ前大統領が死去。ソビエト連邦崩壊に伴う同国独立後から25年もの間担ってきた政権が終わり、内政が一時混乱に陥った。そういった政治的事情により、ビザの発給にも時間がかかってしまったのだ。
 
 また、日本に来て最初にぶち当たった壁が「言葉」だった。母国の公用語はウズベク語。ロシア語は比較的ウズベキスタンで今も使われているが、英語は稀。カタールやイラン(ペルシア語とウズベク語は共通点が多いというが)でのプレー経験があるムサエフは来日後、「少しだけ話せるレベル」と言う英語の猛勉強に取り組み、単語と文法を頭に叩き込んでいった。
 
 その適応力は抜群だった。性格は明るく前向き。しかも真面目。キャンプ中は積極的にチームメイトの輪に飛び込んでジェスチャーを交えコミュニケーションを取りつつ、ひとりになれば重要な日本語を英語や母国語に変換して覚え、そうしながらピッチ上での関係性も深めていった。
 

次ページ開幕・C大阪戦での無失点は、小さくない収穫だった。

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