【鹿島】J1通算500試合出場の偉業。それでも小笠原満男と曽ヶ端準の姿勢は変わらない

2017年04月17日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「今日もいつもの試合と同じだった」(曽ヶ端)

辿り着いたJ1通算500試合出場という偉業。このゲームでも小笠原は汚れ役を厭わず、中盤の底で積極的に身体を張っていた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ7節]仙台 1-4 鹿島/4月16日(日)/ユアスタ
 
「ソガ(曽ヶ端準)に聞いて」
 
 そのひと言だけが残った。"鹿島の魂"である小笠原満男は、大勢の記者たちを引き連れて、決して立ち止まることなく足早にミックスゾーンから立ち去って行った。
 
 誤解を恐れずに言えば、肩透かし以外の何ものでもない。だが、「らしいな」とも思った。確かにJ1通算500試合出場というメモリアルデーではあった。しかし、数字は数字。500分の1試合でしかない。
 
 中盤の底で85分までプレーし、時には攻撃の舵を取り、時には泥にまみれることをなんとも思わずに身体を張って守備をする。そんな背番号40が辿り着いた500。では、同様の数を積み上げた守護神は何を想うのか。
 
 曽ヶ端の対応も、実に「らしいな」と感じさせた。4-1という勝利に舞い上がることもない。饒舌にはならない。偉業は偉業かもしれないが、ひとつのゲームでしかないのだ。
 
「今日もいつもの試合と同じだった。ただ連敗していたので、そういうなかで勝てて本当に良かったとは思っている。
 
 500試合に想うことは特にないですけど(笑)。試合数を求めているわけじゃなくて、これまでと変わらず、ひとつひとつ目の前の試合にしっかりと出場できる準備をして、チームの勝利に貢献できるようにできれば。
 
 同じゲームで達成することとなったが、むこう(小笠原)は1年間イタリアにいったり怪我で離脱したりしたなかでのもの。僕はずっといながらもここまで時間が掛かってますしね」
 
 長年にわたって、常勝軍団を支えてきたふたりのベテラン。すべては勝利のために。すべてはタイトル獲得のために。本当に「目の前の試合に全力を尽くす」を体現できている選手がどれだけいるだろうか。
 
 見据えるは、先ではないのだ。どんなにゲームをこなそうとも、小笠原と曽ヶ端は根幹をブレさせない。その変わらぬ強さが、クラブの基礎体力となっていると再認識させられた。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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