【川崎】ふたりのキーマンが鳴らす警鐘。11戦でわずか1敗のチームが抱える不安とは?

2017年04月17日 本田健介(サッカーダイジェスト)

明らかに勝ち切れない試合が多く…。

札幌戦は中村がPKを獲得し、先制に成功した。しかし、終盤に追い付かれた。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ7節]札幌 1-1 川崎/4月16日/札幌ド
 
 今季の川崎はACLを含めここまで11戦を戦い、喫した黒星は4節のFC東京戦(0-3)でのひとつのみだ。しかし、勝点3を掴んだのはわずか3試合で、残りの7試合はドローに終わっている。負けないが勝ち切れない――。それが今のチームの現状だ。
 
 アウェーに乗り込んだ7節の札幌戦も小林のPKで先制したが、82分に追い付かれて勝点3を取り損ねた。この試合、負傷から復帰し、PKにつながるパスを中村に通した阿部は、ゴール後に喜ぶ味方に声を張り上げていた。あの時、どんなことを叫んでいたのか。阿部が感じているチームの課題とともに教えてもらった。
 
「(今日は)先制してからの試合運びが良くなかった。相手がロングボールを蹴ってくることは分かっていた。でも、僕ら攻撃陣が前線から(守備に)行き切れないから(最終ラインは)下がってしまったと思う。その辺のバランスは考えたい。
 
(声を張り上げていたのは)もう1点取りにいくことと、集中して取らせないことを呼び掛けていた。1点を取ったあとの試合運びがこのチームは上手くない。もし1点返されてしまうと、取り返す気力がなくなってしまうというか、みんな落ち込んでしまう。
 
 点を取ることを目指しているチームなら、点を取られても良いくらいの開き直りも大切だと思う。なのに受けるダメージがデカすぎる。そういうメンタルの部分は一人ひとりが変えていかなくてはいけない」
 
 そう阿部が語る一方で、札幌戦は司令塔として好パフォーマンスを見せた中村憲剛は、攻撃面での問題点を口にする。
 
「(札幌戦は)前半から前を向けるけど、向かないシーンが多かった。そういう無駄をもっと省いていかないといけない。相手が真ん中を閉めているなら一回外に出せば良い。そこから入れられるのであれば入れる。相手がスライドをすれば、また(サイドを)変えれば良い。ただ、中の人間がもっと顔を出さないと。間で受けられる選手、(相手を)外せている選手が少ない。
 
 本来はポジションを崩しても良い。もっと相手が困ることをしないと。今はボランチからパスを入れても同じ絵を描ける回数が少ない。3人などで連係して崩すシーンはわずか。それぞれが1対1でやっている印象。本来、そこは同じイメージを持たないといけない。お互いの動き方をもう少し汲み取らないと。単騎で行く形が多くなってしまっている」
 
 ふたりの指摘は的確にチームの病巣を捉えていると言える。この声にどう耳を傾けるのか。4月21日(金)には次節の清水戦(ホーム)、翌週の25日(火)にはノックアウトステージ進出へどうしても勝点3がほしいACLの第5戦、水原三星戦(アウェー)が控えている。修正を施すには時間が限られている。果たして課題を克服できるか。川崎は早くも試練の時を迎えているようだ。
 
 取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
 
【札幌 1-1 川崎 PHOTO】川崎、小林のPKで先制するも札幌の都倉が執念の同点ゴールで試合はドローに。
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