【英国人記者コラム】キャラガーとG・ネビルも改心!? プレミアリーグ審判員の過酷さ

2017年04月07日 スティーブ・マッケンジー

現地番組で審判講習を受けた2人は…。

現役時代から審判に対しては何かと物を申してきたキャラガー(左)とG・ネビル(右)。しかし、その見識が変わる(?)貴重な経験したという。 (C) Getty Images

 ジェイミー・キャラガー(元リバプール)とガリー・ネビル(元マンチェスター・U)は現在、イングランドでも指折りの著名なテレビ解説者だ。彼らはともに英国メディア『スカイ・スポーツ』で、イングランド・サッカーについて日夜、オピニオンを発している。
 
 多くの人間が耳を傾ける彼らの言葉は時に非常に批判的だ。とりわけ、審判に対する意見は辛辣さが増す。
 
 そんな2人は先日、スカイ・スポーツの番組『ザ・レフェリーズ』で、プレミアリーグの審判たちとトレーニングを経験し、トップレベルの判定を下す難しさを身を持って味わった。
 
 まずは基礎的なフィジカルトレーニングから行なわれた。もちろんキャラガーもG・ネビルも現役ではないが、元フットボーラーだ。にも関わらず、平然とセッションをこなす審判たちの脇で滝のような汗を垂れ流し、予想を上回るハードワークに苦労している姿が意外だった。
 
「プレミアリーグの審判はプレーについていくだけなく、そうしたハードワークの中で試合を左右するジャッジを下す必要性がある」とある審判は解説。元選手さえへばってしまうのだから、言うまでもなく容易な仕事ではないことは理解できた。
 
 ハードなトレーニングを行なったのちキャラガーとG・ネビルは次に、判定に関するテクニカルなテストを受けた。
 
 そこで実際のピッチと選手たちを使ってオフサイドの基準を学ぶことになるのだが元プロ選手で現解説者のため目の肥えているはずの彼らが「今のは……オフサイド!」、「これはノーだ」と声を出しながら判定に大苦戦。視聴者に審判という仕事の難しさを伝えるには十分すぎるものだった。
 
 世界的に注目度の高いプレミアリーグは、数えきれないほどのフットボール・ファンの目に晒されている。その強いプレッシャーの中で審判は難しい判定を下しているのだと私は気づかされた。他の視聴者も同じはずだ。
 
 そしてこの番組が最も強く印象付けたのは、審判も人の子であるということだ。番組中に審判たちが見せたユーモアたっぷりの人間性は、試合だけを見ていては気づけない部分だった。
 
 私たちは審判の判定に対して経緯など考えずに、精神的な偏った視点で訴えがちだ。彼らのようにピッチの中に立っているわけでもないのに……。
 
 これまでレフェリーに対して、辛辣なコメントを投げ続けてきたキャラガーとG・ネビルの2人も、番組を通して新たな見識を得られたはずだ。審判という仕事のタフさを知った私も、少しばかりこれまでとは異なった意見を得られたのだから。
 
文:スティーブ・マッケンジー

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。
 
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事