「我ながらベストゴールと言ってもおかしくない」。柏木が自画自賛した“スーパーゴール”の舞台裏

2017年04月02日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

シャドーへポジションを変えて「危険な存在」に。

柏木が決めた今季初ゴールは、巧みなテクニックと判断が凝縮された一撃だった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1・5節]神戸1-3浦和/4月1日/ノエスタ

 柏木の今季初得点は、"スーパーゴール"と言って差し支えないだろう。

 この日、スタートからボランチでプレーしていた浦和の背番号10は、59分に駒井善成が投入されると同時にシャドーへポジションを移すと、「危険な存在」に姿を変える。そして、両者スコアレスで迎えた61分、そのゴールは生まれた。

 右サイドの森脇良太から中央の興梠慎三へパスが通った瞬間、すかさず前方へ走り出し、興梠がフリックするような形で後方に流したボールにいち早く反応。ここからワンマンショーが始まった。

 ボールを持ち、一度左へ切り返し対峙していたDF高橋峻希をかわす。そこへ、シュートを阻止すべくさらにふたり(藤田直之、岩波拓也)がチェックにきた時点で万事休すかと思われたが、素早く右へ切り返し、最後は4人に囲まれながらも左足のトゥーキックで、ゴール左隅にシュートを決めたのだ。

 時間にしておよそ4秒ほど。巧みなステップを織り交ぜながら奪ったゴールは、実にハイレベルだった。本人も「上出来」と言わんばかりに、得点シーンをこう振り返る。

「練習でも最近すごく落ち着いてプレーできていて、試合の中でも落ち着きだったり、余裕が出てきている。それがあの場面でも出たのかなと。我ながらベストゴールと言ってもおかしくないんじゃないかと思います」

 また、自画自賛するこのゴールが生まれた背景には、瞬時に下した"ある決断"も功を奏したのだという。

「一回、(興梠)慎三が『こっち』って声を掛けてくれたのもあってパスしようと思ったけど、ボールを取られたらカウンターを喰らうと思った。自分でいけたらと思って右足で切り返したら相手がついてきてなかった。その後のトゥーキックは、GKのタイミングをズラすこすことができたので、良いゴールだったと思います」

「ボールを取られたらカウンターを喰らうと思った」という認識は、あながち間違っていない。チーム全体が前掛かりになり、中盤にオープンスペースがあった事実を踏まえれば、一転してピンチを迎えていた可能性は考えられる。その意味でも、強引にシュートまで持ち込んだ柏木の決断は、十分に価値のあるものだったと言えよう。

「まだアウェーで勝てていなかったので、勝利できたのは非常に大きかった。これで満足することなく勝利を目指してやっていくだけ」

 先制ゴールに加え、2点目のアシスト、終了間際の駄目押しゴールと、全得点に絡む活躍を遂げた柏木の勢いは、果たして今後も見られるのだろうか――。

取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)

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