数字で振り返るUAE戦。日本はポゼッションで劣るもパスデータが「効率の良さ」を証明

2017年03月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

UAEはいわば「ボールを持たされている」状態だった。

UAE対日本のスタッツ。

[ワールドカップ・アジア最終予選6節]日本 2-0 UAE/3月23日/アルアイン
 
 現地時間3月23日、日本代表は敵地でUAE代表を2-0で撃破。アジア最終予選グループBで2位の座を堅持し、ロシア・ワールドカップへまた一歩近付いたこの一戦を、数字を元に改めて振り返りたい(数値はすべてAFC公式より)。
 
 まず、試合展開の大きな指標となるポゼッション率は、日本が42%。大きな差こそ付いていないが、58%のUAEのほうがボールを保持する時間は間違いなく多かった。
 
 日本はキャプテンの長谷部誠が膝の怪我により不在で、そもそも中盤の構成はいつもの三角形(2ボランチ+1トップ下)ではなく、よりバランスと守備を重視した逆三角形(1アンカー+2インサイドハーフ)。攻撃の軸である香川真司も「まずはディフェンスを考えた」と語ったとおり、勝点奪取が必須とされたアウェーゲームだっただけに、まず守備から試合に入った。
 
 その守備時は、全体を高く押し上げて前線からのプレスによるボール奪取を積極的には狙わず、ベタ引きにならない程度までDFとMFを下げて待ち構え、中盤でボールを刈り取る戦術を採っていた。これによって、UAEが「ボールを持たされる」時間が増える。
 
 また、日本は攻撃でもヴァイッド・ハリルホジッチ監督が就任当初から志向する「縦の速さ」をさらに重視。パスの優先順位が横よりも縦にあるため、必然的に本数やボールを持つ時間が減る。
 
 この2つのポイントにより、日本よりもUAEのほうがポゼッション率で上回る結果となった。
 
 この展開は、パス関連のデータにも表われている。日本がUAEにパス本数(417本と574本)とロングパス本数(52本と67本)で劣った。しかし、その他は成功率(76.7%と76.5%)をはじめ、敵陣パス成功率(70.6%と66.8%)、クロスの本数(17本と13本)と成功率(52.9%と7.7%)の全てで上回っている。そのうえ、総シュート(14本と8本)と枠内シュートも(5本と1本)でも圧倒的に良い数字を叩き出した。
 
 つまり、UAEはボールを保持する時間が長いものの、パス精度が悪くなかなかシュートまで持ち込めない。その一方、日本はポゼッションで見劣りしたものの、なるべく手数を掛けずに高い頻度でフィニッシュまで持っていった――。これらのスタッツはそんな試合展開を顕著に表わしていると言える。
 
 ハリルホジッチ監督も「美しい勝利だった」と語るなど、この日の内容には満足気だった。3月28日のタイ戦にも期待がかかる。
 
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