【G大阪】代表GKの代役を任されたが…鈴木椋大が悔しいデビュー戦で感じたアジアレベルの底力とは?

2017年03月16日 高村美砂

「もう一歩、二歩と食らいつけていたらまた結果は変わっていたのかなと…」

前半に喫した1失点が決勝点に。鈴木は「次にまたチャンスをもらえたら今度は勝利に貢献できるように頑張りたい」と語った。(C)Getty Images

 GK鈴木椋大が移籍後初先発を告げられたのは前日練習の直前だった。
 
 直近のJ1・3節のFC東京戦でGK東口順昭が左頬骨を骨折したのを受け、必然的に残ったGK3人の誰かにチャンスが来ることは分かっていたが、森下申一GKコーチに「明日行くから」と言われると大きな緊張に包まれた。
 
「今日の練習もガチガチでしたし、明日になればもっとガチガチになると思います。J1でも出場したことがないし、もちろんACLも初めて。しかもACLは1勝1敗で前回のホーム戦でやられていると考えても、大事な一戦ですから。すごいところでチャンスが回ってきたな、と。それに、ヒガシくん(東口順昭)があれだけのすごいプレーを見せたあとですからね。やりづらさはあります。ただ、チャンスを生かすも殺すも自分次第。ここで結果を残せたら評価も上がると思いますし、自分の人生をかけるくらいのつもりでプレーしたいと思います」
 
 前日練習を終えて、報道陣に囲まれた時には冗談を交えて語っていたが、試合当日はしっかりと気持ちを落ち着かせてピッチに立った。
 
「相手があまり前からプレスをかけてこなかったし、自分たちが余裕を持ってボールを持てていたので。僕のところにボールもほとんどこなかったですしね。そういう意味では普通に試合には入れたと思います」
 
 その言葉通り、相手にシュートを打たれるシーンもないまま前半を終わろうとしていた時だ。39分、鈴木のゴールキックの展開から、相手にボールを奪われると、最後はゴール前でMFジー・シアンからボールを受けたMFラミレスに左足でゴール左上を捉えられた。
 
「シュートシーンだけを見れば、相手がうまかったと思いますが、もう一歩、二歩と食らいつけていたらまた結果は変わっていたのかなと思います。また、はじまりは僕のキックミスというか、少しショートしてしまって。ファビオが競り勝ってはくれたんですが、それが少し中にいって、相手にとられてという展開からやられたので、そこのキックの精度は求めなければいけないし、最悪、外に出して流れを切るプレーというのも選択しなくちゃいけなかったという反省が残りました」
 
 ビハインドを負った後半は、江蘇が完全に守勢に回ったこともあり、ほとんどの時間帯でG大阪がボールを持ち、敵陣でプレーしていた。相手に決定的なシーンを作られたのは、パワープレーで前がかりになった展開からの2度だけ。その2回は事なきを得たものの、攻撃では最後まで相手の砦を破ることができずに0-1で敗戦と、鈴木にとっては悔しいデビュー戦となった。
 
「J1にもまだ出たことのない僕を使ってくれたことについては監督はじめ、GKコーチにすごく感謝していますが、やっぱり結果で応えられなかったのは非常に悔しいし、申し訳ない。ただ、あの1本で決め切ってしまうような相手とは、これまで対戦したことがなかっただけに、改めてアジアのレベルを体感できたことは経験値として備えたいし、次にまたチャンスをもらえたら今度は勝利に貢献できるように頑張りたい」
 
 これでG大阪は1勝2敗。同節のもうひとつのカードが引き分けに終わったため、江蘇以外の3チームは混戦模様になった。次節はアウェーの地で再び、江蘇との対戦を迎える。
 
取材・文:高村美砂
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