「カネを稼ぐ大変さを思い出せ」スイス1部の監督が選手に工場見学を指令!

2017年03月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

選手の態度に怒り心頭のイタリア人指揮官が下した決断。

昨夏に行なわれたEURO2016では、アシスタントコーチとしてアルバニアの奮闘を支えたトラメッザーニ。チームに変革をもたらすため、46歳のイタリア人指揮官は異例の命令を下した。 (C) Getty Images

「お前ら仕事しろ」

 チームのパフォーマンスが不甲斐ないとき、ヨーロッパではサポーターがこういったチャントを歌うことがある。「大金を稼いでいるのだから、しっかり仕事をしろ」というわけだ。
 
 スイス・スーパーリーグのルガーノを率いるパオロ・トラメッザーニ監督は、実体験からその意味を深く理解しなければいけないと言いたかったのかもしれない。大敗したチームに、朝6時からの工場見学を命じたのだ。スイス・メディアの報道をイタリア紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』が伝えた。
 
 ルガーノは現地時間3月12日に行なわれた敵地でのトゥーン戦(24節)で2-5と敗れた。前半だけで4失点を喫し、終了間際に2点を返すのが精いっぱいという完敗だ。勝っていれば5位に浮上し、さらにヨーロッパリーグ出場ラインとの勝点差を5に縮めることができたはずの一戦だった。
 
 大敗と選手たちの姿勢に、怒りが頂点に達したトラメッザーニ監督は、試合翌日にニスとペンキの会社の工場にチームを連れていった。理由は、「普通の人たちがいかに働き、稼ぐために汗を流しているかを見るため」。集合は、作業員たちの出社より早い朝6時だった。
 
 46歳のトラメッザーニ監督は、現役時代にインテルやトッテナムでプレー。指導者に転身後、2011年からEURO2016までアルバニア代表でジャンニ・デ・ビアージ監督のアシスタントを務め、今シーズンからルガーノで指揮を執っている。
 
 今回の件について、ルガーノのアンジェロ・レンゼッティ会長は「干渉したくない。トラメッザーニはチームに関して好きなようにやることができる」と、すべては指揮官が決めたことだと明かした。工場見学後、選手たちはトレーニング場へと向かい、3月18日のホームでのヤング・ボーイズ戦(25節)への準備に取り組んだという。
 
 リーグ2位の強豪との一戦だけに、作業員たちとの"交流"が、必ずしも勝利につながるとは限らないだろう。ただ少なくとも、ルガーノの選手たちが、ホームのサポーターとトラメッザーニ監督を納得させるだけのパフォーマンスを求められることは確かだ。
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