人種差別に暴力騒動…トッテナム戦でミルウォール・サポーターが再び大暴れ

2017年03月13日 サッカーダイジェストWeb編集部

クラブの足を引っ張る悪しき集団はいまだ消えず。

騒動を未然に防ごうと地元警察はミルウォール・サポーターを取り囲んだが、そんなことはお構いなしに彼らは暴れた。 (C) REUTERS/AFLO

 現地時間3月12日、FAカップ準々決勝でトッテナムと対戦したミルウォールは、ソン・フンミンにハットトリックを決められるなど0-6と大敗を喫した。
 
 3部クラブながら今大会は、昨シーズンのプレミアリーグ王者であるレスターを退けるなど望外とも言える勝ち上がりをみせてきたミルウォール。トッテナムには敗れはしたものの、その健闘は称賛に値するはずだ。
 
 しかし、その選手たちの奮闘に水を差すようなファンの暴挙が、現地では悪目立ちしてしまっているようだ。英紙『サン』をはじめとする複数メディアが、ミルウォール・サポーターのトッテナム戦での悪行を伝えている。
 
 動画付きで報じたサン紙は、「俺たちはミルウォールが大嫌い」と挑発的なチャントを歌うトッテナム・サポーターに近づき、殴りかかるミルウォール・サポーターの姿を伝えた。
 
 さらに英紙『デイリー・メール』は、大活躍を見せたトッテナムの韓国代表FWソン・フンミンに対して、『3ポンドのDVDを5ポンドで売りつけてきやがる』というチャントを連呼したことを伝え、これがアジア人に対する人種差別だと糾弾した。
 
 また、英国メディア『BBC』は、すでにFA(イングランド・サッカー協会)が、ミルウォール・サポーターの行動を調査し、何らかの処分を下す構えであることを報じた。
 
 スタンドの外でも地元警察と暴力騒ぎを起こしたとされるサポーターについて、ミルウォールの指揮官であるニール・ハリソンは次のように語った。
 
「私自身は何も聞いていないが、事実なのであれば、許すことはできない。クラブはそういった人々を取り除くことを望んでいる。差別は社会においても、フットボールにおいても、間違っている行動だからだ。私は試合を純粋に楽しんでもらいたい」
 
 ミルウォール・サポーターは、イングランドの悪しき伝統とも言えるフーリガンの代表格とも言われる存在で、かつて「ブッシュファッカーズ」と呼ばれた。幾度となく騒動を起こしてきたその一部集団は、プレミアリーグ発足以降は徐々に英国全土で消えていったフーリガニズムをいまだに引きずっている。
 
 1980年代後半から2000年代前半に活躍した元イングランド代表MFのポール・インスは、現役時代から変わらないミルウォール・サポーターの態度について、「フットボール、とくにミルウォールからそれを根絶しようと我々は働きかけてきた。しかし、彼らは悪い時代に戻っているようだね。私は二度と見たくない」と嘆いた。
 
 もはや、「ミルウォール=フーリガン」という固定観念が英国人のみならず、世界中のフットボール・ファンに根付いてしまっている印象は否めない。だが、ピッチ上では選手たちが素晴らしいフットボールを披露しているだけに、何とか改善してもらいたいところだが……。
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