【鹿島×横浜|ゴール検証】名手・中澤佑二が振り返る鈴木優磨の決勝点

2017年03月11日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

“ブレイクタイム”がこの日の横浜には少なすぎた。

伊東のクロスに鈴木(9番)が完璧なヘディングシュートを叩きこみ、これが決勝点に。マークに付いていた松原(27番)は、ポジション取りで後手を踏んでしまった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ3節]鹿島1-0横浜/3月10日/カシマ
 
 エース齋藤学を負傷で欠いた横浜は、王者を相手に苦しい戦いを余儀なくされた。押し込まれる時間帯が長く、中澤佑二を中心とした伝統の堅守でなんとか耐え忍んでいたが、83分の鈴木優磨の一発は防げなかった。
 
「みんな、高い集中力で守っていたんですけどね。もったいなかった。鹿島も決して良くなかったと思う。それでも、ああやってしたたかに狙えるっていうところがね」(中澤)
 
 両SBの裏を執拗についてくる鹿島の攻撃に、横浜の守備陣は"走らされた"部分があったのかもしれない。そこで体力を消耗し、前半にできていたことが、後半も終盤にさしかかると、できなくなる。最初の一歩が遅れて後手を踏み、さらに劣勢を強いられる――。
 
 齋藤不在は様々な面で大きく響いた。リーグ屈指の突破力を備える背番号10がいれば、ゴールチャンスが増えると同時に、チームとして攻撃にかける時間が長くなり、その分、守備陣も一息つける。しかし、その"ブレイクタイム"がこの日の横浜には少なすぎた。
 
「(スコアラーの鈴木は)あとから出てきた選手だし、すごくフレッシュさがありましたよね。疲れたDFからすると、非常にやっかい」(中澤)
 
 失点の場面では、横浜守備陣は足が止まっていたわけではないし、鈴木をどフリーにしたわけでもない。ただ、左サイドで遠藤康→伊東幸敏とつないでくる相手への寄せが甘く、中でスタンバイする鈴木とのポジション取りでも優位に立てなかった。
 
 ボランチの喜田拓也は「多少、我慢の時間もあったけど、そこまで守備でやられた印象はない」と語る。だからこそ、わずかな隙を突かれた悔しさは残るだろうし、逆に言えば、その隙を逃さず確実にモノにした鹿島の勝負強さが、そのまま結果に反映された。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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