【川崎】大怪我を乗り越え――。約10か月ぶりにリーグ戦で先発した奈良が胸の内を吐露

2017年03月11日 本田健介(サッカーダイジェスト)

まずまずのパフォーマンスも本人の口からは課題が。

力強く柏の攻撃陣を撥ね返した奈良。ただ、本人のなかでは課題が残ったようだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ 3節]川崎 2-1 柏/3月10日/等々力
 
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 当時、リオ五輪のメンバー入りも有力視されていた奈良竜樹を悲劇が襲ったのは昨年5月のJ1・第1ステージ12節の神戸戦だった。
 
 相手FWの増山朝陽と競り合った瞬間、足に激痛が走る。全治まで約4か月を要する左脛の骨折――。夢見ていた五輪への出場はこの負傷によって、消滅した。
 
 その後、懸命のリハビリを続けた奈良は、昨年9月22日の天皇杯・千葉戦でスタメンとして復帰を果たした。しかしである。10月7日の練習中に再度、左脛を骨折。再び数か月の離脱を余儀なくされた。
 
 それでも武骨なファイターは今季、力強くピッチの上に戻ってきた。チームの初陣であったACL初戦の水原三星戦に72分から出場すると、リーグ開幕戦の大宮戦、続く鳥栖戦でも途中出場し、ACL第2戦のイースタンSC戦では不運な判定で一発退場となるも先発メンバーに名を連ねた。
 
 そして迎えた柏戦、リーグ戦では約10か月ぶりとなるスタメン出場を果たしたのだ。
 
「奈良は久々のスタメンで気持ちが入っていましたし、結果を残すぞと2人で言い合いながらプレーしました」とはCBでコンビを組んだ谷口彰悟の言葉だ。奈良は先輩の谷口と連係しながら、力強いプレーを披露し、完全復活を印象付けた。
 
 ただし、本人としては納得できない部分もあったようだ。
 
「1対1の局面でもっと厳しくやらなければいけないし、思いどおりにいかないシーンもあり、チームのみんなに助けられました。個人的に去年は大きな怪我を2回して苦しい1年でしたが、サポーターの支えがありました。今度は感謝の気持ちを勝利という形で一つひとつ恩返しをしていきたいです。これからチームの役に立てるようにしっかりトレーニングしていきたい」
 
 現在のCB陣はエドゥアルドが長期離脱中(右肩関節反復性脱臼で5月頃の復帰予定)で、舞行龍ジェームズも負傷を抱えている。左SBでレギュラーを掴んでいた車屋紳太郎を中央に回すなどやりくりをしているが、そんな苦しいチーム事情は、逆に奈良にとっては絶好のアピールの機会なのだろう。
 
 昨季の悔しさを晴らすべく、柏戦をキッカケにさらにパフォーマンスを高めてくれることに期待したい。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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