「カンプ・ノウの奇跡」と「イスタンブールの奇跡」で歓喜と絶望を経験した唯一の男の想いとは?

2017年03月11日 サッカーダイジェストWeb編集部

「CLの奇跡」で歓喜と絶望を味わった。

 現地時間3月8日のチャンピオンズ・リーグ(CL)でパリ・サンジェルマンを相手に偉業を成し遂げたバルセロナ。しかし、バルサで国際部門担当のスポーツディレクター(SD)を務めるアリエド・ブライダにとって「奇跡の逆転劇」は、これが初めての経験ではない。ミラン時代には逆に、逆転される立場を味わっている。
 
 CL史上初となる4点ビハインドからの逆転劇は、「カンプ・ノウの奇跡」と呼ばれ世界中を驚かせた。イタリア『トゥットメルカート・ウェブ』によると、ブライダSDも一夜明けた9日、2013年まで27年間に渡って幹部を務めた古巣ミランの公式TVで、「表現できない感動だった。サッカーの歴史となるクレイジーな試合だった」と喜びを表わした。
 
 後半の立ち上がりまでに3点を奪ったバルサは、62分にエディンソン・カバーニにアウェーゴールを許す。残り約30分で再び3点が必要という敗退濃厚の状況だったが、ブライダSDは1点奪えば奇跡が起こり得ると信じていたという。「近くにいた人に、4-1になったら突破できると言っていた。ポジティブな何かを感じていたんだ」と明かしている。
 
 そして88分、ネイマールのFKでその1点が決まってからの展開は周知の通り。一部ではレフェリーの判定が有利に働いたとの声も挙がったが、ブライダSDは「運に恵まれたのは明らかで、それがなければ勝てなかったが、いつだって運は必要だ」と語った。
 
 それも、勝負は紙一重の差だということを肌身にしみて感じているからかだろう。ミランのSD時代には、リバプールと戦った2004-2005シーズンのCL決勝で苦い経験をしている。ミランが前半に3ゴールを奪いながら後半のわずか6分間で同点に追いつかれ、結局はPK戦の末に欧州王者のタイトルを逃した、いわゆる「イスタンブールの奇跡」だ。
 
【バルサ対パリSG】CL史上に残る「奇跡の大逆転劇」を写真で振り返る!

 だからこそ、今のパリSGの気持ちを誰よりも分かるのだろう。「奇跡」で悲しみに暮れた経験を持つブライダSDは、次のように語っている。
 
「時間とともに、傷は癒える。残念ながら私はミラン時代のリバプール戦の不運を思い出した。あのときは1週間言葉を失ったが、今はとても幸せだ」
 
「カンプ・ノウの奇跡」と「イスタンブールの奇跡」の両方を経験し、歓喜と絶望を味わった唯一の男の言葉だけに、さすがに含蓄がある。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事