【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|前々日の現地入りというコンディション調整法

2017年03月06日 渡邉 晋

非公開練習のために早く乗り込んだわけではない。

磐田の1-0で勝利して、開幕2連勝。前々日に現地入りしてコンディション調整したのが功を奏した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第2回。テーマは「アウェー戦」だ。2節・磐田戦は奥埜のゴールで1-0の勝利。開幕2連勝を飾った裏にあったコンディション調整法とは。渡邉政権となって初だった前々日の現地入りについて語ってもらった。
 
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[J1リーグ2節]磐田0-1仙台/3月4日(土)/ヤマハ
 
 仙台と静岡は地理以上に遠く、遠征は移動にかなりの時間が掛かる。東京駅からこだまではなく、のぞみやひかりに乗ろうとすれば、1時間ほど時間を潰す必要が出てくることもある。ドア・トゥ・ドアだと、ホテルに着くまで5時間以上だ。
 
 今まではバタバタすることも多々あり、どうにかして外的ストレスを取り除けないかなと考えていた。今年のスケジューリングの際に、マネージャーが「早々に前々泊を提案して見ましょう」と言ってくれ、クラブもオッケーしてくれた。
 
 あくまでもコンディション調整が一番の狙い。別に非公開練習にするために早く乗り込んだわけじゃない。むしろ、敵地で前日トレーニングをするわけだから。
 
 おかげで、すごくゆとりを持てたと思う。ホテルで普段よりもゆっくり過ごせたし、スタッフと話す時間もたくさん確保できた。そして、当日のスタジアム入りを少し早めたことも功を奏した気がしている。
 
 宿泊した浜松からヤマハスタジアムまで、混むと50分弱かかることも。なので、「早めにホテルを出発しよう」と決めて、ミーティングを前倒しした。考えていた以上に到着が早まってしまったけど、遅れて慌ててしまうよりはいい。
 
 むしろ、そうした時間的余裕が心の余裕を生んだのではないだろうか。選手が試合で落ち着いてプレーできたひとつの要因でもあるのかなと思っている。
 
 そういえば、試合前のマッチミーティングの時に名波(浩)さんから「前々泊してたらしいじゃん」と話題を振られた。磐田は結構やっているし、昨季の仙台戦も同じだったのを知っていたから、「名波さんも昨年にやってましたよね」と返したら「いいよな、やっぱ楽だよね」と。
 
 もうひとつ、思わぬ副産物もあった。やはり現地では、地元の新聞やニュースを見る機会に恵まれる。今回で言えば「中村(俊輔)はもう少し高い位置でプレーしたいと話している」といった精度の高い情報を仕入れられたこと。
 
 こちらとしては、それを目にする前から想定はしていたけど、実際にそうなんだなと気持ちの面で前準備ができた。選手たちにも「相手が本当にそのように戦ってきたら守りやすくなる」という話をした。

次ページ現地では、特に選手たちに対して制限を設けない。

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