【FC東京】嫌なムードを払拭した森重真人の先制弾。笑顔に隠されたゴールの真実

2017年03月05日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「あの形はまったく練習していないんですけどね」

森重の先制ゴールが嫌なムードを払拭。本人も驚きのアドリブショートコーナーがきっかけだった。写真:田中研二

[J1リーグ2節]FC東京2-0大宮/3月4日(土)/味スタ
 
「素晴らしいシュートでしたね」。66分に決めた得点について記者にそう問われると、森重真人は少しの照れ笑いとともに「いや」と答えて、言葉を続けた。

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「とにかく枠に飛ばそうと思って。そんなに良いシュートではなかったんですけど、ゴールはゴールなんで。得点を取れたのは素直に嬉しいですね」
 
 前半からボールポゼッションで後手に回り、「上手く守れた印象は持ってない」とディフェンスリーダーも認める苦しい戦況をひっくり返す強烈なミドルシュートだった。
 
 ただ、その先制弾を生んだショートコーナーはサインプレーでなく完全なアドリブ。太田宏介、東慶悟の機転だったことを森重は暴露している。
 
「タイミング的にすぐにショートコーナーができたからやったんだと思う。自分も上がっているところだったけど、ペナルティエリア内には人数が揃っていたから外で待ってた。
 
 そしたら慶悟が上手く内にドリブルしながらパスを出してくれて……。あの形はまったく練習していないんですけどね」
 
 何をやってもダメな時は奇策が裏目裏目に出るように、勢いに乗っている時は何をしても出目が良い。開幕直後の現在、FC東京はそんな状態にあるのかもしれない。
 
 大久保嘉人が「勝利は今日喜んで、明日からは次の準備を」と言うように、もちろん選手たちは自分たちの展開とは言い難い試合について喜んでばかりではない。
 
 森重曰く「まだチームは出来上がってない。各々が踏ん張りどころで力を発揮できているから勝点を積み重ねているけど、よりチームとして強固にならなければ」
 
 シーズンを終えた時に満面の笑みでいられるように。背番号3と青赤の旅路は、マストにいっぱいの追い風を受けて始まったようだ。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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