「チャイナ・ミラン」の誕生に暗雲…買収取引完了が再び延期か?

2017年03月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

ミランは株主総会や会見の準備も進めてきたが…。

現オーナーのベルルスコーニは先週の段階でミラン売却が事実上まとまったと語っていたが、ここにきて再び取引延期か?(C)Getty Images

「チャイナ・ミラン」の誕生は、秒読み段階と見られていた。しかし、雲行きが怪しくなっている。イタリアの各メディアは現地時間2月28日、ミランのクラブ株式売却取引の完了が再び延期される見通しと報じた。
 
 ミランのオーナーであるシルビオ・ベルルスコーニは昨夏、中国投資グループとクラブ株式の売却で合意した。買収額は7億4000万ユーロ(約888億)。そのうち2億2000万ユーロ(約264億円)は債務の引き受けとなり、1億ユーロ(約120億円)は手付金として夏に支払われている。
 
 残る4億2000万ユーロ(約504億円)の支払いは、2016年中に実現するはずだった。しかし、昨年12月に投資グループが中国からの資本移動の難しさを理由に延期を要請。再びミランに1億ユーロの手付金が支払われ、取引完了は今年3月3日に延期された。
 
 あれから約3か月。残金の3億2000万ユーロ(約384億円)に今シーズンの運営資金の補填となる1億ユーロを加えた計4億2000万ユーロの支払いが完了する前提で、ミラン側は3月3日の株主総会や4日の記者会見を準備。地元メディアも、2月26日のサッスオーロ戦がベルルスコーニ・ミランのラストゲームになると報じていた。
 
 ところが、2月28日に状況が一転する。『スカイ・スポーツ』や『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙など有力メディアがこぞって、投資グループが再び取引完了の延期を要請したと報じたのだ。いずれも3月3日の取引完了の可能性も消滅はしていないとしつつも、難しいとの見通しを伝えている。
 
 これを受けて、すでに2億ユーロ(約240億円)の手付金を手にしているベルルスコーニが、投資グループとの取引を打ち切る可能性もある。2015~2016年にかけては、クラブ売却をタイ資本との間で進めていたが、同じく取引完了延期を繰り返した末に結局は破談している。
 
 だが、より現実的と報じられたのは、投資グループが来週までに再び1億ユーロの手付金を支払い、取引完了をさらに1か月延期させる案だ。
 
 とはいえ、今度も手付金が確実に支払われるのか、そして何よりも先送りになり続けている取引完了が最終的に実現するのか、ミランの将来は不透明と言わざるをえない。
 
 クラブの先行きが不透明となれば、来シーズンに向けての補強はもちろん、現有戦力の契約問題への影響も避けられないだろう。守護神ジャンルイジ・ドンナルンマの代理人を務めるミーノ・ライオラは先日、「問題はミランがどうなるのかだ。ミラン自身も分からないんじゃないか」と、クラブの今後が不透明なことを懸念していた。今回の取引完了の再延期というニュースに、さらに警戒を強めているに違いない。
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