スペインを破り国際大会で優勝を飾ったU-18日本代表。影山監督がそれでも痛感した世界との差とは?

2017年02月28日 松尾祐希

強化は、ふたつのワールドカップの狭間で──。

U-18日本代表を率いる影山監督。現役時代は古河やジェフでDFとして活躍した情熱家だ。写真:田中研治

 U-18日本代表を率いる影山雅永監督が、2016年度の関東U-16トレセンリーグ最終節を視察。チームの立ち上げとなった2月上旬のスペイン遠征を振り返り、今後の強化ビジョンについて話を聞かせてくれた。
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 2年後のU-20ワールドカップ出場を目ざすU-18日本代表は、2月7日からスペイン・カナリア諸島で開催された4チームによる国際大会「コパ・デル・アトランティコ」に参戦。初の実戦となった日本ながら、U-18カナリア諸島代表、U-18ベルギー代表を連破し、最後のU-18 スペイン代表戦もモノにして全勝優勝を飾った。これ以上ないスタートを切り、「いろんなことが充実してやれたので、良い遠征だったと思う」と、指揮官も手応えを口にした。
 
 同時に、影山監督は世界との差を痛感させられたとも話す。特に、最終戦で対峙したスペインだ。2年前のU-17ワールドカップを経験している選手が多く名を連ね、頭一つレベルが抜けていたという。
 
「球際で強いのは当たり前。世界に行ったら、もっと激しい。そのなかで個人戦術によってボールを奪い取るところをやらないといけない。(だから今回の遠征は)ボールを取る能力に長けた選手を選んだ」のだが、無敵艦隊とのレベルの差は歴然。とりわけプレー強度の部分で違いを感じさせられた。
 
「スペインはとても強かった。前から果敢にボールを取りにいったけれど、前半は取れなかった。あれが普段から強度の高い環境でプレーしているチームとの差なのかもしれない」
 
 10月のU-19アジア選手権1次予選が当面の目標だ。今後も海外遠征が予定されているが、今回のU-18日本代表は前回のチーム(現U-20日本代表)とは異なる問題を抱えている。今年はU-20とU-17のふたつのワールドカップ本大会が控えており、そこに出場する選手たちを思うように招集できないのだ。
 
 次の遠征や合宿まではおよそ3か月開くが、5月のU-20ワールドカップに飛び級で参加する選手は呼べず、10月に開催されるU-17ワールドカップ組も5月に海外遠征を予定。ベストメンバーは組めそうにない。
 
 そういう意味で、2月26日に行なわれた関東U-16トレセンリーグ最終節は有意義だった。指揮官の来訪にモチベーションを上げた選手は多く、なかでもオナイウ阿道(浦和)を兄に持つ埼玉県選抜のオナイウ情磁(正智深谷高/1年)は前日から「監督にアピールをしたい」と意気込んでいた。この日はキャプテンマークを預かり、得意のドリブルとスピードで存在感を発揮。今後もこのオナイウのように、代表歴のない選手たちのモチベーションを駆り立てるだろう。
 
 当面は新戦力の発掘がメインになるU−18日本代表。「(自身が監督を務める予定の)5月のトゥーロン国際大会はひとつ上の代で出ますけど、U-18の選手も何人か入れたほうが良いと思っている。彼らとのミックスでトゥーロンに行くつもりなので、いろんな選手が見たいですね」と、影山監督は語る。本格的にチームが動き出すまでは、多くの選手にチャンスが与えられそうだ。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)
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