【ベガルタ戦記】渡邉晋の『日晋月歩』|平山と増嶋のプロフェッショナルな姿勢

2017年02月27日 渡邉 晋

交代の選択肢はマス(増嶋)ではなく(平山)相太だった。

交代枠の使用は指揮官の腕の見せどころ。開幕戦は石原のゴールで用意していたプランを変更した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」がスタート。初回のテーマは「選手交代」だ。ホームで迎えた1節・札幌戦の89分、永戸勝也選手に代わって増嶋竜也選手がピッチに立ったシーンに垣間見えた各人のプロフェッショナリズム。その舞台裏を語ってもらった。

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[J1リーグ開幕戦]仙台1-0札幌/2月25日(土)/ユアスタ

 2017シーズンの開幕戦、札幌を相手に1-0で勝利できた。そのゲームの最終盤、実は最後の交代枠で考えていたのはマス(増嶋竜也)ではなく(平山)相太だった。崩してゴールを奪えればいいけど、この試合の状況ではそれも難しい。
 
 交代用紙を渡して、ピッチサイドで相太の出場準備はできていたし、ロスタイムを含めて残り10数分の段階で「アバウトでもいいからクロス勝負で」というプランがあった。
 
 右ウイングバックに途中から入ったハチ(蜂須賀孝治)、左ウイングバックで先発していた永戸(勝也)はクロス精度も高く、目印があったほうがいいとも考えていた。それに、まだコンディションは完璧でないと言っても、相太の高さと得点感覚は相手にとって脅威になる。

 ただ、84分に均衡を破ったことでそれも白紙になってしまった。アウト・オブ・プレーになって「交代しますか?」と聞かれて「いや、待ってくれ」と。相太には「ごめん」と言って戻ってもらった。彼はもちろん悔しかったと思う。それでも嫌な顔をせず、グッと我慢してくれた。本当に申し訳ないと思っている。

 ゴールを奪った段階で、頭の中には「守備固めになる」「ロスタイムは時間を使う」という判断が浮かんだ。相手がパワープレーにくればマスを、そうじゃなければシャドーの位置に(藤村)慶太を投入して、ひとつ前で蓋をしようと。

 結局、相手の動きを見てマスをピッチに送った。アップでいい準備をしているのは見えていたし、入ってからの働きも素晴らしかった。声を張り上げて、ラインをしっかりと上げて、保って……。果たした役割は間違いなく大きかった。

次ページ恒例の締めはマスにしてもらった。

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