半年契約で退路を断った柴崎岳。テネリフェ移籍は正しい選択だったのか?

2017年02月12日 二宮寿朗

二転三転した移籍騒動を通して柴崎への評価がかなりシビアだったことが分かった。

スペイン移籍に向けて準備を進めていた柴崎は、2年ほど前から語学を勉強していたという。写真:DeporPress

 柴崎岳がスペインのテネリフェへ移籍した。かねてから海外でのプレーを強く希望していただけに、本人にとっては念願叶っての欧州挑戦かもしれないが、一方でスペインとはいえ「2部リーグのクラブ」に移籍した点を疑問視する声もある。果たして、その選択は正しかったのか。
 
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 テネリフェ入団会見での「言葉が問題になると思うか」との質問に、柴崎岳がスペイン語で『「少しだけ話せる」と応じた』とニュースは報じていた。
 
 あとでスポーツ紙の番記者に聞いたところ、柴﨑は2年ほど前から語学を勉強していたそうだ。スペインにこだわっていたことがよく分かる。
 
 鹿島を〝卒業〞するタイミングとしてはベストに近かったと思う。昨季はシーズンを通してMVP級の働きをしたわけではないが、7年ぶりのリーグ制覇にも貢献できた。
 
 プロ入りから5シーズンでヨーロッパに渡った先輩の内田篤人と大迫勇也より、日本でのプレーは1年長かった。海外志向が強いだけに、これ以上国内に引き留めるよりは、このタイミングで外に出てチャレンジしたほうが成長スピードも加速するのではないかと思っていた。
 
 二転三転したラス・パルマスへの移籍騒動を通して分かったのは、日本代表に呼ばれていない柴崎への評価がかなりシビアだったということだ。
 
 クラブワールドカップでレアル・ マドリーから2ゴールを奪ったとはいえ、過去にスペインで日本人プレーヤーがなかなか活躍できていないことも影響しただろう。さらにシーズン途中に欧州内ではなく、遠く日本から呼ぶとなれば、すぐに適応できるかどうかも読みにくい。違約金がかからない〝旨味〞はあったものの、「獲れるなら獲りたいが、無理はしたくない」というのがラス・パルマスの本音ではなかったか。
 
 柴崎の代理人は中村俊輔、長友佑都、岡崎慎司らと契約するロベルト佃氏だ。過去にも、マーケット最終日に長友をチェゼーナからインテルにステップアップさせた実績があり、 今回も期限ギリギリまで粘って移籍を実現させた。ラス・パルマスと並行してテネリフェとも交渉を進めていた手腕はさすがだ。

次ページ戸惑いや環境の違いも成長の糧。這い上がっていく姿を、ぜひ見たい。

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