カセレスに振られたミラン、改めて「金欠」が浮き彫りに…

2017年02月05日 サッカーダイジェストWeb編集部

年明け以降に最終ラインに故障者が相次ぎ…。

カセレスはメディカルチェックを通過しながら、金額で合意できずミラン入団が破談になった。(C)Getty Images

 ミランはウルグアイ代表DFのマルティン・カセレスとの契約が、急転直下で破談に終わった。
 
「カセレスは私たちのオファーを受け入れなかった」
 
 現地時間2月5日のサンプドリア戦(セリエA23節)の直前、サン・シーロでアドリアーノ・ガッリアーニ副会長がそう明かした。
 
 カセレスといえば、バルセロナやセビージャ、ユベントスなどでプレーしてきた29歳の実力派DF。ウルグアイ人らしく激しいプレーが持ち味で、最終ライン全域に対応するポリバレントな能力も魅力だ。
 
 その一方でかなり怪我が多く、昨年2月にもアキレス腱を痛めて戦線離脱。そのまま契約満了を迎えた昨夏にユベントスを退団すると、その後は受け入れ先が見つからず、無所属の状態が続いていた。
 
 今冬にはフィオレンティーナ、トラブゾンスポル(トルコ)と契約寸前までいきながら、いずれもアキレス腱の怪我が問題視されて入団を認められなかった。
 
 しかし、ミランはここにきて左SBのレギュラーを担うマッティア・デ・シリオをはじめ、ルカ・アントネッリ、ダビデ・カラブリアというSBの3人が一気に怪我に倒れる。イニャツィオ・アバーテもコンディション不良だったサンプドリア戦のSBは、右に本来インサイドハーフのユライ・クツカ、左にCBのアレッシオ・ロマニョーリを回すほど苦しい状態にある。
 
 この緊急事態にミランは、無所属のため冬のメルカートが閉じた後も契約が可能なカセレスに目を付け、最大の懸念だったメディカルチェックも2月3日に無事通過。まずは今シーズン終了までの半年契約が濃厚と見られていた。
 
 しかし、どうやら給料面で合意できなかった模様。カセレスは半年で税抜き75万ユーロ(約9000万円)を要求する一方、ミランは固定が20万ユーロ(約2400万円)で1試合出場ごとに5万ユーロ(約600万円)を上乗せするオファーを送り、このギャップが埋められなかったという。
 
 ミランとしては、メディカルチェックを通ったとはいえ、昨年2月3日以来すでに1年も公式戦から遠ざかっているだけにコンディションを考慮したうえでのオファーだったのだろうが、69キャップの代表歴も含めて実績十分のカセレスに対して適切とは言えない金額だったと言わざるをえない。
 
 緊縮財政が叫ばれて久しい昨今のミランだが、あらためて"金欠"を露呈する格好に。昨夏に仮合意した中国資本へのクラブ株式売却の正式調印が、何度も延期を繰り返し、現在の予定日である3月3日も確実とは言えないだけに、しばらくは苦しい台所事情を強いられそうである。
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