アーセナルらにもチャンスあり!? トリノFWの違約金1億ユーロに「特別条項」

2017年01月28日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

トリノがヨーロッパリーグ出場権を獲得できなければ…。

今シーズンに入ってゴールセンスを開花させているベロッティ。アーセナルをはじめビッグクラブが目を光らせる。写真:Alberto LINGRIA

 アンドレア・ベロッティはいま最も注目されているイタリア人ストライカーだ。トリノ入団1年目の昨シーズンに12ゴールを挙げ、今シーズンはすでにその記録を超える14ゴール(セリエA得点ランク2位)と完全に覚醒した。
 
 ベロッティがイタリア代表の未来を担う存在であることは確かだが、トリノの未来を担うかどうかはちょっと分からない。23歳という若さで将来性と得点力をこれだけ高いレベルで備えたストライカーは、ヨーロッパを見回してもそうはいないからだ。
 
 それはヨーロッパの多くのクラブもよく知っている。昨夏はエバートンが4000万ポンド(約56億円)をオファーしたが、トリノは相手にしなかった。さらにこの冬にはアーセナルの6500万ポンド(約91億円)というオファーにも、トリノのウルバーノ・カイロ会長は「ノー、グラツィエ」と返事した。
 
 昨年12月の契約延長時(2021年6月まで)に設定した1億ユーロ(約120億円)の違約金を支払わない限り、ベロッティを売る気はないという強気の姿勢だ。
 
 ただ、この違約金が有効なのは国外への移籍に限られており、しかもトリノのヨーロッパリーグ出場権(セリエA4~5位およびコッパ・イタリア優勝チーム)獲得が条件になっている。つまり、もし今シーズンのトリノが来シーズンのEL出場権を勝ち取れなければ、この違約金は一切適用されないということだ。
 
 トリノは21節終了時点で5位と勝点9差の9位で、コッパ・イタリアもすでに敗退している。このままいけば夏には違約金の効力がなくなる。
 
 もちろん、カイロ会長を説得するためには、時間をかけた交渉が必要だろう。しかし少なくとも1億ユーロという縛りはなくなる。アーセナルを含めたヨーロッパのビッグクラブは、トリノとベロッティの動向をあらゆる意味で注意深く見守っている。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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