イギリスの名伯楽も着目! 青森山田2年生が「廣末陸の後継者」に名乗り

2017年01月19日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

安定したセーブとキックでクリーンシートに大貢献。

ナイキアカデミーを零封したGK坪。今後が楽しみな2年生だ。写真:ナイキ

 JFAとナイキの全面協力の下、1月16日からイングランド遠征中の青森山田高校が現地時間18日、FA所有のトレーニングセンター、セント・ジョージズ・パークでプロ養成所『ナイキアカデミー』と激突。前半こそ試合を支配した日本ユース最強軍団だが、後半は主導権を握られて次々とピンチを迎える。しかし、これを何とか防ぎ切って、スコアレスドローで試合を終えた。
 
 世界中からポテンシャルの高い若手をセレクトし、トム・ロジック(セルティック/オーストラリア代表)など幾多のプロフットボーラーを輩出してきたナイキアカデミーのジョン・グッドマン監督も、青森山田の組織力やコンビネーション、アグレッシブネスを絶賛。さらに「もっとも印象に残った選手は?」と聞くと、次のように語った。
 
「基本的には自分のチーム(ナイキアカデミー)を見ていたんだが、そうだな、キーパーはグッドセーブだったね。足元のパスワークも良かった」
 
 グッドマン監督が名前を挙げたのは、力強い対人と冷静なカバーリングを見せたCB橋本恭輔、中盤で攻守の要となったMF住永翔、積極的にボールを引き出す動きを見せたFW鳴海彰人など3年生ではなく、今遠征で唯一の2年生(他は3年生が16人、1年生が1人)であるGK坪歩夢だった。
 
 先発でゴールマウスを任された坪は、序盤から地空ともに安定したセービングを見せ、失点しても不思議はなかった55分、68分、75分には鋭い反応でビッグセーブを連発。パスの処理も堂々たるもので、78分に飯田正弘(1年)と交代するまでハイパフォーマンスを見せた。
 
 当の本人も、「大久保さん(GKコーチ)から『堂々とやれ』と言われていたので、それを意識してやりました。ミスもあったけど、シュートストップも繋ぎのパスで今の自分の100パーセントは出せたと思います」と満足げな表情を浮かべた。
 
 青森山田の高円宮杯U-18プレミアリーグと全国高校選手権の二冠に大貢献したGKといえば廣末陸(入団決定のFC東京に合流したため今遠征は不参加)だ。セービング、キック、スローイング、そして戦術眼とすべてが卓越したスターGKの背中を、1つ年下の坪は2年間ずっと眺めてきた。
 
 その廣末が今春に卒業し、『日本一』のゴールマウスを空席となる。この日も途中出場して同じく良い動きを見せた1つ年下の飯田をはじめライバルは少なくないが、坪にその座を譲るつもりは毛頭ない。
 
「陸さんみたいにはなれないですかね。でも、陸さんの次は自分の番だと思っています。後輩には絶対に負けられないです。小さくても(178センチ)、勝てるキーパーになりたいです」
 
 多くのプロフットボーラーを育て上げた名伯楽からも称えられたGK坪。『廣末の後継者』という看板は「マジですごいプレッシャーです」と言うが、その覚悟をすでに心に宿している。20日には地元のクラブチームと対戦予定で、改めて真価が問われる。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

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