「金」よりも「野心」――。マンチーニが中国からの天文学的オファーを拒否!

2016年12月26日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

ヨーロッパに留まってメガクラブからのオファーを待つ方を選ぶ。

今夏のインテルを退団して以来、フリーの状態が続いているマンチーニ。しかし、中国から届いたオファーには躊躇なく断りを入れた。(C)Getty Images

 金さえあれば幸せになれる――わけでは決してない。少なくとも、誰にとっても常に優先順位の頂点にあるとは限らない。
 
 例えば、今年8月にインテルを去ったロベルト・マンチーニにとっていま最も重要なのは自らの野心であり、金はその後からついてくるものだ。もちろん、2009年から2013年に指揮したマンチェスター・シティで、もう十分に稼いだというのもその理由のひとつだろうが。
 
 いずれにしてもマンチーニは、中国スーパーリーグの上海申花から飛び込んできた年俸1000万ユーロ(約12億円)以上という破格のオファーに、躊躇なく断りを入れた。
 
 今年1月にインテルからフレディ・グアリンを獲得した上海申花は、1か月ほど前、同じく元インテルのマンチーニに天文学的な数字のオファーを出した。
 
 しかし返ってきたのは、「ノー・サンキュー」というつれない返事。金のためだけに中国に渡るよりも、フットボールの世界的中心地であるヨーロッパに留まってメガクラブからのオファーを待つ方を選ぶ、というのがマンチーニの姿勢だ。
 
 上海申花は仕方なく、11月12日にベティスを解任されたばかりのグスタボ・ポジェを招聘した。金銭的にはマンチーニよりずっと安く済んだはずだ。たとえ、金だけの問題ではないにしても……。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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