現役ラストゲームで出番のなかった森﨑浩司が自分に課す次なるミッションは?

2016年12月25日 小田智史(サッカーダイジェスト)

「引退する寂しさよりも、鹿島に負けたのが悔しかった」

「(試合に)出たい気持ちはあった」と話すが、試合後にこみ上げて来たのは、出番がなかった無念さよりも鹿島に負けた悔しさだったという。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯準々決勝]鹿島アントラーズ1-0サンフレッチェ広島/2016年12月24日/茨城県立カシマサッカースタジアム
 
 サッカーの神様は、実に残酷である。今季限りで引退する森﨑浩司に、タイトルをプレゼントしようと一致団結する広島の面々に敗戦を突きつけ、本人には現役ラストゲームでピッチに立つ機会を与えなかったのだから――。
 
 1点を追う88分、広島の森保一監督は3枚目のカードとして宮吉拓実を送り込んだ(1枚目に清水航平、2枚目には佐藤寿人を投入)。その瞬間、森﨑浩が鹿島戦でプレーする可能性はなくなったが、それでも背番号7はチームの勝利を信じて、ベンチから必死にチームメイトを鼓舞した。しかし、チームはリーグ王者・鹿島に0-1で敗戦。広島の2016シーズン、そして森﨑浩のサッカーキャリアは幕を閉じることとなった。
 
 森﨑浩は「(試合に)出たい気持ちはあった」と話すが、こみ上げて来たのは出番がなかった無念さよりも、鹿島に負けた悔しさだったという。
 
「いろいろな想いがあるなかで、『とにかく1点返してほしい』『チームが勝ってほしい』と願って、最後まで見ていました。僕は応援することしかできなかったけど、引退する実感はなくて……。寂しさよりも、日本で一番(多く)タイトルを獲っている鹿島に負けたのが悔しかった」
 
 来季からJ2の名古屋でプレーする佐藤も鹿島戦が広島でのラストゲームとなり、試合後には人目をはばからず涙を流した。そんな同世代のエースを労うように、声をかける森﨑浩の姿が見られたが、それも12年の間、苦楽をともにしてきた盟友だからこそだろう。
 
「ヒサ(佐藤)のほうが寂しい気持ちはあると思います。僕は(スタッフとして)広島に残りますけど、彼は違いますから」

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