【クラブW杯】“神ってる”金崎、ゴールだけじゃないその魅力

2016年12月12日 白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)

最前線に“プレゼンス”をもたらし、鹿島に流れを引き寄せる。

2試合連続で途中出場からゴールを挙げた金崎。直近5試合で5得点と乗りに乗っている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[クラブW杯準々決勝] マメロディ・サンダウンズ0-2鹿島アントラーズ/2016年12月11日/吹田スタジアム
 
 またしても、この男だった。鹿島がマメロディから奪った2ゴールは、金崎夢生その人がいずれもキーになっていたのだ。
 
 12月3日の浦和レッズ戦(チャンピオンシップ第2戦)で負った左足首捻挫の影響で、3日前のクラブW杯開幕戦に続くベンチスタート。出番が訪れたのは、0-0で迎えた61分だった。
 
 投入から2分後には、右からのクロスに対してペナルティーエリア中央に走り込んで敵DFを引き付け、スコアラーである遠藤康をフリーに。先制点を間接的にお膳立てする。
 
 その後も、身体能力の高い相手DFとの"デュエル"をモノともせずボールを収めて攻撃の基準点となれば、さらには裏や敵の隙間のスペースに入り込んでフィニッシュを狙う。それまで鹿島の最前線に欠けていた"プレゼンス"をもたらし、掴みかけていた試合の流れを完全に手繰り寄せるのだ。
 
 74分には自ら起点を作ってクロスに飛び込んでヘディングシュート。これはわずかに頭にミートせず、ボールは枠外に飛んだ。しかし、こうしたゴールの匂いを感じさせるいわゆる"怖い"動きの数々が、マメロディの最終ラインを下げさせ、鹿島のボール回しを円滑にしたのは間違いない。
 
 そして、88分だった。同じく途中出場の鈴木優磨が右サイドを抜け出すと、金崎は同サイド後方からペナルティーエリア中央に走り込んでフリーになり、グラウンダーのクロスを足元に収める。するとGKの位置を冷静に見極めて、左足でゴールネットを揺らした。
 
 3日前のオークランド・シティ戦に続く途中出場からのゴール。直近の計5試合(Jリーグ・チャンピオンシップ3試合とクラブワールドカップ2試合)で5得点の荒稼ぎだ。
 
 途中出場ながら決定的な働きを見せ、大会選定のマン・オブ・ザ・マッチに輝いた金崎は試合後、公式インタビューでこう語った。
 
「前半は耐えるシーンが多かったけど、しっかり守備をできたし、それが後半に繋がった。嬉しいです。でも、チームが勝ったことが一番。また次、試合できるので、それが一番嬉しい」
 
 メディアが待つミックスゾーンでは、ある記者から「今日も美味しところ持っていったね」という声が挙がると、「そんな言い方ないでしょ(笑)」とだけ言い残して去っていった金崎。左足を引きずっていたその姿を見る限り、まだ痛みや腫れは完全には引いていないのだろう。
 
 しかし、乗りに乗っている、まさに"神ってる"今の金崎には、誰もが期待せずにはいられないはずだ。南米王者のアトレティコ・ナシオナルと対戦する12月14日の準決勝、先発だろうが途中出場だろうが、背番号33から目が離せない。
 
取材・文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
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