【千葉】レアル、ユベントスなどでプレーした元アルゼンチン代表が監督に就任。「勝者のメンタリティ」を叩き込む

2016年11月29日 松尾祐希

交渉する時点で千葉の試合を20試合以上も映像をチェック。

プレーヤーとして豊富な経験を持つエスナイデル新監督が、千葉の監督に就任した。(C)Getty Images

 今季もJ1昇格を逃し、来季こそ8年ぶりの悲願成就を狙う千葉。その目標を実現するべく、25日にはアルゼンチン国籍のフアン・エスナイデル氏の監督の就任を発表し、28日に新指揮官の就任記者会見を行なった。
 
 エスナイデル新監督は、現役時代はFWとしてレアル・マドリードやアトレチコ・マドリー、ユベントスなどでプレーし、アルゼンチン代表の経験も持つ。指導者としては08年からスペイン1部のヘタフェでアシスタントコーチを務め、11年にはレアル・サラゴサの監督に就任して指揮官としてのキャリアをスタートさせた。その後はコルトバなどで指揮を執り、15年途中からはヘタフェに帰還して采配を揮ってきた。
 
 そんな43才の新参の将は、「ここにいることは名誉に思っています。スペインで高橋悠太GMとミーティングをした時から、サッカーに対する価値観や目標を共感することができました。ジェフが歴史のあるチームであるということも聞いています。歴史のあるチームなので、強いチームにしないといけない。その挑戦が私にとってここに来るモチベーションのひとつになりました」と新たな挑戦を決断した理由を語った。
 
 そして、目指すサッカーのスタイルに関しては、「勝つことが一番。勝ちにこだわる。勝者のメンタリティが大事。どのように戦うとか、攻めるのか守るというのはいくつか頭にありますが、練習をしないと分からないので今後そこは決めていきたい。ただ、ひとつ言えることは攻撃的にもっと前からボールを奪えるチームにしたいと思う」と勝利にこだわる姿勢を真っ先に挙げた。
 
「今季よりも、よりゲームの主役になれるような試合運びをしないといけない。チームとしても個人としても、勝者のメンタリティを持たなければいけません」
 
 それはチームとって、今季最も足りていなかった部分。前田社長も「ホーム最終戦でも申し上げましたが、しっかりと戦う集団にしていくことが来季のテーマ」と会見で語った。「勝ちにこだわる」という言葉は、巻き返しを図る上でエスナイデル新体制のキーワードになりそうだ。
 
 また、自身とクラブの考え方をすり合わせながらやっていく点も、新監督の特徴だ。スペインの地に赴き交渉に当たった高橋GMは「相手が(日本の)クラブをリスペクトしていないこともあるし、1年で監督が変わるようなところも見てきている。そういう監督は必要以上に介入してダメになることもある。だから、人間性が凄く大事だった」と語る。
 
 実際にエスナイデル新監督は交渉する時点で千葉の試合を20試合以上も映像をチェックしており、高橋GMと何度も話し合いをする熱意を見せた。そこから、チームファーストで言葉を交わし、来季の方向性を一緒に定める作業を行っていった点はポジティブに捉えることが出来る。
 
つまり、実績や名前だけで選んだわけではない。人となりを見定めて、エスナイデル新監督にJ1昇格という目標を託したということは千葉にとってプラスになるはずだ。
 
 この日、ギジェルモ・アシスタントコーチの就任も発表され、千葉は来季への新たな一歩を踏み出した。コーチ人事や選手の補強などはこれからだが、まずは新たな指揮官とともにチーム再建を進めていく。
 
文:松尾祐希(サッカーライター)
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