大量10選手を戦力外、名古屋の大胆な人員刷新は成功するのか

2016年11月26日 サッカーダイジェスト編集部

短期間で強くなるのは簡単ではないが…。

写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 J2降格を機に、所属選手を大幅に入れ替えている名古屋の動向が注目されている。2010年にJ1制覇を経験したこの名門クラブに限らず、主力選手の大半を放出してチームの再建を模索するやり方は、果たして良策と言えるのか。様々な事例を基にしながら、その是非を問うた。
 
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 浦和のJ2降格が決まった1999年のリーグ最終戦のあと、ロッカールームでは岡野雅行が鋭い眼光で、「みんな残るんだろうな」と意思を確認して回ったそうだ。また、2012年にG大阪のJ2降格が決まった時は、遠藤保仁がいち早く「残ります」と残留を表明した。どちらのケースも、ほとんどの主力がクラブに残り、1年でJ1に復帰している。
 
 名古屋の場合はどうか。田口泰士、小川佳純、楢﨑正剛など、チームの中心になり得る主力はみんな「考えたい」と発言した。その後、結果としてクラブから契約終了を言い渡された選手もいるが、それ以前に、自ら力強いメッセージを発信してクラブを守ろうとする動きが見られなかったことは寂しい。この現状は、浦和やG大阪のケースとは違う。
 
 チームとして再上昇するエネルギーがない。大ナタを振るう改革が是か非かというより、もはや名古屋のケースは、壊して作り直す以外に道がないように思える。それほど状況はこじれているのではないか。
 
 しかし、大ナタを振るってゼロから出発したクラブが短期間で強くなるのは簡単ではない。そんなに安直にチームは作れない。仮に、その難しいミッションを成し遂げられるとしたら、強烈なパーソナリティを持つ指導者が不可欠だ。
 
 野球に比べると、サッカーは客観的なパフォーマンス評価が難しい。データが当たり前になった現代でも、選手やプレーの良し悪しは、依然として主観に依る部分が大きくなる。
 
 ところが、土台を失ったチームには、基準や方針がない。結果が出ているうちは良いが、勝てなくなると、何が正しいプレーなのか、何が正しいチョイスなのか、すぐにブレる。監督と選手の中に積み重ねがあれば、経験則から判断できるのだが、大ナタを振るったクラブにはそれがない。

次ページ代表監督は、チームを作り直すために明確な基準を持ち込んだ。

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