【釜本邦茂の視点】「本田と香川」頼みからの脱却を示した原口の走り、清武の冷静さ

2016年11月16日 サッカーダイジェストWeb編集部

原口のスプリント、ゴールの働きは見事。A代表2戦目の久保もまずまず。

ピッチをアグレッシブに上下動した原口は、チームを攻守両面で支えた。(C) SOCCER DIGEST

 サウジアラビア戦は終盤に1点を許したものの清武、原口のゴールで2-1と勝利し、日本はワールドカップ出場圏内に浮上した。その後の試合で、オーストラリアがタイに引き分けたため、日本は2位で前半戦を終えることになった。

【PHOTOギャラリー】清武、原口のゴールでグループ首位を撃破

 それにしても、サウジ戦は全員が相手に対してしっかりプレッシャーを掛けるべく、よくディフェンスに走る姿が印象的だった。そうやって前から連動して追っていくことで、ボールを奪った時にスムーズに攻撃へ転換できたし、攻めに推進力も生まれていた。
 
 やはり今回はオマーン戦を調整の場として使えたことで、日本のコンディションの良さを感じた。9月のUAE戦、10月のイラク戦はどうしても動きの重さが目についたものだが、今回はオマーン戦で主力は最低限の起用に止め、サウジ戦に照準を合わせられたのが大きかったのだろう。
 
 この試合でハリルホジッチ監督は、ひとつの大きな決断をした。これまでチームの主軸を担ってきた本田や香川、岡崎といった選手たちをベンチに置き、代わって1トップに大迫、トップ下には清武を起用し、そして右サイドには代表2戦目の久保を抜擢。前線の顔ぶれが大きく変わった。
 
 大迫と清武のふたりはオマーン戦でも、その実力を十分に発揮していたし、サウジ相手にもやれるのは分かっていたけど、22歳の久保もまずまずの出来で、チームの中でしっかり機能していた。ただ、少し意気込みが強すぎたのかボックス内でもう少し落ち着いて対処できれば、ゴールも奪えたかもしれないね。
 
 そしてなんといっても原口だ。攻撃的な選手だけど、よく帰陣してディフェンスをやり、そこからまたフルパワーで最前線まで駆け上がるというプレーも序盤から何度か見せていた。あの往復のスプリントは、清武の冷静なボールコントロールとともに、本当にチームを助け勇気づけるものだった。
 
 そうした仕事をやりながら、最終予選で4試合連続ゴールという結果を出して見せたのは、まったく見事というほかない。海外で揉まれてきた成果を、しっかりと代表に還元している良い例と言える。

【日本代表PHOTO】サウジアラビア戦の美女サポーターたち
 

次ページ香川はもっと自分を出してプレーすべき。そのためにもまずは試合に出ることだ。

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