高松大樹がホームラストマッチ。次節現役最後の試合はJ2昇格へ「天国か地獄になる」

2016年11月14日 柚野真也

最終節を前に大分がJ3首位浮上で感動のセレモニー!

今季限りで現役を引退する高松。サポーターに向けて熱い思いを語った。写真:柚野真也

 試合前から会場は異様な雰囲気に包まれた。8日に現役引退を表明した高松大樹のホームでの最後の勇姿を見ようと、今季最多の1万1065人が大分銀行ドームに集った。この数はJ3の観客動員最多記録となる。ウォーミングアップで"ミスタートリニータ"高松が入場するとスタジアムのボルテージは一気に上がり、高松コールが鳴り響いた。
 
 試合は大分が28分に「大分のレジェンドである大樹さんのために勝ちたかった」と三平が先制点を挙げ、後半も着実に追加点を奪う理想的な展開となった。残り10分を過ぎた頃から、会場から高松のチャントが鳴り響き、「煽られたわけではないけど予定より早く送り出した。高松本人もサポーターも喜んでくれたと思う」と片野坂監督。
 
 この日最大の声援を背にピッチに出た背番号13は、いつもと同じ最前線にポジションを取り、高さと懐の深さを生かしたポストプレーでボールを収める仕事をこなす。守備ではしっかりパスコースを消し、味方のインターセプトを誘導する巧みな動きで逃げ切りに貢献した。
 
「チームが勝つことがすべて。そのためのプレーをすることがプロだと思う」と常々口にしていた高松は最後までチームプレーに徹した。シュートチャンスはなかったが、チームのために走る高松に向け、試合が終わるまでチャントは止むことはなかった。
 
 試合後のセレモニーでは「きつくて、くじけそうな時もサポーターのチャントが勇気づけてくれた。トリニータで優勝できたこと。トリニータで引退することができたこと。この2つの夢が叶い幸せだ。ただ、J1に上げてから引退したかったが、トリニータ愛を持った選手が僕の思いを継いでくれる」と言葉を詰まらせ涙を流した。
 
 高松は選手やスタッフに胴上げされ、13回宙に舞った後に、J2復帰へ王手をかけたことを知る。首位・栃木の敗戦によって、勝点で並んだ大分は、得失点差で首位に浮上した。
 
「次の一戦の結果で天国か地獄になる。気を引き締めて、いい雰囲気を作って挑みたい」
 
 J2昇格を置き土産にミスタートリニータは自ら花道を飾る覚悟だ。
 
取材・文:柚野真也(フリーライター)
 
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