【名古屋】的を射る田口泰士の言葉。神戸戦の大敗を招いた“連動性の欠如”と“意識の差異”

2016年10月31日 古田土恵介(サッカーダイジェスト)

「3点目を奪われて、ちょっと静かになっちゃった」

攻守で思ったことを表現できず。主将の田口は自分たちの力不足を嘆きつつ、敗戦のなぜを説明してくれた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

[J1第2ステージ16節]神戸 3-0 名古屋/10月29日/ノエスタ
 
 狙ったのは勝点3。どんなに悪くとも勝点1を持ち帰る。J1残留を懸けて臨んだ一戦は、だが、神戸に力不足をまざまざと見せつけられるゲームになった。田口泰士も「相手のほうが上だった」と唇を噛んだ。
 
 では、何が悪かったのか。なぜ1ゴールも奪えず、なぜ3失点もしてしまったのか。主将の言葉から紐解こう。
 
 実は「もっとつなぎたかった」という。だが、199センチのシモビッチをターゲットにロングボールを多用。伊野波雅彦と岩波拓也という神戸の両CBのうち、より身長の低い前者サイド(179センチ、岩波は186センチ)で勝負させていた。
 
 しかし、競り勝つものの次が続かず。単調だった攻撃は相手に読まれ、セカンドボールはことごとく神戸に拾われてしまった。ハーフタイムにジュロヴスキー監督から「もっとつないでいけ」と指示があったものの、事態が大きく変化しなかった。
 
 同時に「攻撃時も守備時も距離感が悪かった」。前線からプレスに行っても後ろとの連動性に欠け、ボールの奪いどころの共有がなされていなかったように映った。中途半端さは布陣の間延びを引き起こし、最終ラインと中盤にできたスペースを自由に使われてしまった。
 
 また、守から攻への切り替え時には「前線が張りっぱなしで、神戸のFWと比べて引き出す動きがなかった」。あえて厳しい言葉をチョイスしたように思うが、「ただ突っ立っているだけだったり、なんの駆け引きもなく裏に走るだけだったり……。そういうプレーばかりで、なかなか上手くいかなかった」は、正直な感想だろう。
 
 それとともに、「出しどころを探すのも苦労して、攻撃のテンポが出なかった」と苦しかった心境も吐露している。
 
 そして実は、3失点目が痛恨だったとも。「せめてビハインドが2点までだったら、と思う。サッカーならば、その程度の差だったら逆転という展開も十分にあり得る。でも、3点目を奪われて、ちょっと静かになっちゃった」。
 
 69分という時間を考えても、トドメの一撃であった。しかも、スーパーゴールと形容していい1失点目とも、出足が鈍ってフリーでのシュートを許した2失点目とも違う。ピッチの幅を使われた、なす術もなく崩されてのゴール。意気消沈しても不思議はない。
 
 連動性の欠如、意識の差異。もちろん相手の出来の良さも考慮すべきなのかもしれない。だとしても、シチュエーションごとに「何を選択するのか」という基幹部分の共有がなされてなければ、たとえ17位の湘南が相手とはいえ、最終節での勝利は厳しい。
 
取材・文:古田土恵介(サッカーダイジェスト編集部)
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